〈衆院選挙で争点化〉「世界有数の移民国家」となった日本の実態と税務――外国人労働の問題はどこへ向かうのか【国際税務の専門家が解説】

〈衆院選挙で争点化〉「世界有数の移民国家」となった日本の実態と税務――外国人労働の問題はどこへ向かうのか【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年1月23日の衆議院解散を受け、2月8日に判明する総選挙の結果次第では、外国人問題が新たな国政の主要争点として浮上する可能性があります。背景には、2025年の訪日外国人旅行者数が4,000万人を突破し、在留外国人数も約400万人と過去最高を更新した現実があります。もはや日本は「移民を受け入れない国」とは言えず、実態としては世界有数の移民国家の一角に足を踏み入れつつあります。在留外国人の国籍構成の変化、技能実習制度に代わる新制度「育成就労」の導入、そして実務上とくに注意を要する税務論点である国外居住親族に係る扶養控除の問題について、最新動向を踏まえて整理します。

技能実習制度から育成就労制度へ

政府は、途上国の経済発展に資する人材育成を目的として技能実習制度を創設してきました。しかし、転職が原則として認められないという制度上の欠陥があり、より高い報酬を求めて失踪するケースが多発するなど、制度の形骸化が深刻な問題となっていました。

 

このため政府は、外国人技能実習に代わる新制度として「育成就労」を創設する方針を打ち出しました。人手不足が深刻な分野において、即戦力となる人材を安定的に確保するとともに、外国人労働者の権利保護やキャリア形成を両立させることが狙いとされています。

 

2026年1月23日、政府は、2028年度末までに受け入れる「特定技能」と「育成就労」の上限数を、合わせておよそ123万人とする方針を閣議決定しました。具体的には、特定技能が約80万6,000人、2027年4月に新設される育成就労が約42万6,000人とされています。

 

この規模は、日本の外国人労働政策が「例外的受け入れ」から「恒常的受け入れ」へと大きく転換しつつあることを象徴しています。今後は、単なる労働力確保にとどまらず、地域社会との共生や社会保障制度との整合性をどのように確保していくのかが重要な課題となります。

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国外居住親族に係る扶養控除等の税務

日本で働く外国人の多くは給与所得者であるため、所得税法上、外国人であること自体による特別な税制は存在しません。税務上は、あくまで「居住者」と「非居住者」の区分に基づいて課税関係が整理されます。

 

実務上、とくに注意が必要となるのが、外国人労働者が本国の家族宛てに送金している場合に、扶養控除等の適用が認められるかどうかという点です。雇用者である日本企業等は、年末調整や源泉徴収事務において、これらの要件を適切に確認する責任を負います。

 

国外居住親族に係る扶養控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除または障害者控除を受ける場合には、次の書類を源泉徴収義務者に提出または提示しなければなりません。

 

① 親族関係書類(当該親族〔配偶者を除く〕が30歳以上70歳未満で、留学により国内に住所および居所を有しなくなった場合には、これに加えて留学ビザ等の書類)

 

② 送金関係書類または38万円送金書類

 

※ これらの書類が外国語で作成されている場合には、その和訳文を添付する必要があります。

 

形式的に書類がそろっている場合であっても、実態として扶養関係が認められるかどうかについては、税務調査において厳格に確認される傾向が強まっています。企業としては、過度な事務負担を避けつつも、不正な控除適用を防止するため、制度の趣旨を十分に理解したうえで慎重な対応が求められます。

 

 

矢内 一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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