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高収入だった人ほど陥りやすい「老後の落とし穴」
佐藤さんのようなケースは、決して珍しくありません。中小企業経営者層を主な顧客としている筆者も、将来の家計をシミュレーションすると、現役時代に高収入だった方の約半数が、老後に資産が底を尽くす結果になります。
その最大の要因は、場合によっては公私混同とも呼べるような経費がなくなることです。 現役時代、生活水準が高いうえに、飲食代やゴルフ代の多くを交際費として会社の経費で落としていた人は少なくありません。リタイア後、それらがすべて家計にのしかかってくると、あっという間に資金不足に陥ります。なかには、会社のお金を使い込んでしまう事例さえあるほどです。
老後破綻を防ぐためには、リタイア後の生活費について「いくらまでなら使ってもよいのか」という上限(予算)を明確に決めることが不可欠です。
また、資産構成の見直しも重要です。リタイア後は「守りの資産」と「攻めの資産」を切りわけ、生活費の原資となる部分は価格変動の少ない資産で確保する必要があります。収入があったころと同じ運用を続けていると、必要以上に高い管理費用を支払うことになったり、「守りの投資」で保有する必要がある分もハイリスクな資産に投資して資産を減らしてしまったりといったケースは少なくありません。資産運用の見直しは必須でしょう。
そしてもう一つ、佐藤さんにはやるべきことがありました。支給停止されている年金について、年金事務所へ相談に行くことです。
佐藤さんの厚生年金が支給停止された理由は、在職老齢年金という制度によるものです。これは、「老齢厚生年金+給与・役員報酬」が一定額を超えた場合に、その超過分に応じて年金が支給停止される仕組みです。計算式(65歳以上の場合・簡略化)は以下のとおりです。
(老齢厚生年金月額 + 総報酬月額相当額 - 51万円)÷2=支給停止額
※2026年4月以降は65万円に引下げとなる
現役時代の佐藤さんは高額な役員報酬を受け取っていたため、受給できたはずの厚生年金部分と合算すると全額が支給停止されていました。しかし、リタイアして収入が下がったのであれば、申請することで本来受け取るはずだった年金を受けることもできたのです。
「端金」と口にしていた年金ですが、月に15万円程度の厚生年金部分があるのとないのとでは大違いでしょう。手続きを怠り、自ら受給権を放棄している状態はあまりにももったいないといえます。
想像以上に老後の支出は多い
総務省の家計調査によると、高齢期(65歳以上世帯)の交際費、趣味・娯楽費などを含めた日常の支出は、想像以上に高水準です。特に医療費は、年齢とともに増加する傾向があります。「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、佐藤さんのように現役時代の収入が高かった人の場合、2,000万円あっても足りないケースは珍しくありません。
自分がどんな老後を送りたいのか、そのために毎月いくら必要なのかを具体的に把握し、そのうえで、現役のうちから必要資金を準備する必要があります。加えて、資産配分と支出の上限を決めて管理していくことで、多くの老後破綻は防ぐことが可能です。
見栄やプライドを守るために生活を壊すのではなく、現実を直視し、自分に合った老後設計を描くこと。それこそが、本当の意味で人生の成功者といえるのではないでしょうか。
小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー
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