「子育て環境」のため郊外の低層マンションを選んだが…
東京都心から電車で約40分。閑静な住宅街にある築浅の低層マンションで暮らすのは、佐野翔太さん(仮名・38歳)とその妻・真理子さん(仮名・37歳)です。夫婦共に大手企業勤務で、世帯年収はおよそ1,200万円。2人は結婚後、子どもを見据えてマイホームの購入を検討しました。
「ちょうどコロナ禍の直後で、湾岸エリアの新築タワマンがまだ“手の届く価格”だった時期でした。モデルルームも見学しましたし、駅直結・商業施設併設の便利さにかなり惹かれました」(真理子さん)
しかし最終的に2人が選んだのは、郊外の低層マンション。決め手は「子育て環境」でした。
「自然も多くて、学校や公園も整っている。価格もタワマンより2割ほど安くて、管理費・修繕積立金も抑えられる。今だけじゃなく“10年後”の暮らしを考えたつもりでした」(翔太さん)
ところが、郊外マンションに引っ越して3年が経った頃、2人はネットでかつて検討していたタワマン物件が「当時より2,000万円以上も値上がりしている」ことを知ります。
「正直、ショックでした。あのとき買っていれば、今の資産はまったく違っていたはず。それに、私たちの住んでいる地域はこの3年でほとんど地価が上がっていないんです…」(真理子さん)
翔太さんもこう振り返ります。
「当時は、湾岸タワマンなんて“バブルだ”と思っていたんです。でも、今は周囲の友人が『あれは“資産”になるから多少無理してでも買うべきだった』と言っている。住宅ローンは同じでも、資産価値の差は広がる一方です」
2人にとってもう一つの誤算は、テレワーク制度の見直しでした。
「コロナ後も在宅勤務が続く前提で郊外を選びました。でも最近は出社回帰の流れで、週4日出社。通勤時間がかなりの負担になっています」(翔太さん)
国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査』によれば、分譲集合住宅購入者のうち「立地環境」を重視した人は53.8%、「交通の利便性」を重視した人は43.7%にのぼります。
