1LDKの狭いマンションに、いきなりの宿泊客が…
「最初は、やむを得ないと思っていたんです…」
そう言ってうつむくのは、都内の大手企業に勤務する山田里奈さん(32歳・仮名)です。里奈さんは夫の健太さん(33歳・仮名)と結婚して3年。世田谷区の人気エリアのマンションに2人暮らしです。婚活アプリでの出会いから現在まで、大きな喧嘩もなく、夫婦2人の穏やかな生活を送っていました。
ところが、そんな生活に転機が訪れます。健太さんより2年早く結婚していた妹の絵里さん(27歳・仮名)が2人のマンションに転がり込んできたのです。
「義妹の絵里さんは、ひと回り以上年上の男性と結婚していましたが、夫婦仲はよさそうでした。でも、ご主人が経営していた会社がダメになり、そこから関係が悪くなったようで…」
絵里さんは夫と暮らしていた渋谷区の高級マンションを出て、郷里の北関東の実家へ戻る予定でした。
「去年の11月でした。月曜日に自宅に帰ったら、いきなり絵里さんがいたんです。シクシク泣いていて、夫が一生懸命慰めていました。びっくりして〈なにかあったの?〉って聞いたら〈離婚した〉と…」
「泊まるのはその晩だけだと思ったんですが、夫は私の意見を聞くこともなく、絵里さんの目の前で〈1週間くらいうちに置いておくから〉っていうんです。〈ええっ!?〉って思いましたが、泣いている人を前に何も言えなくて。ご主人と暮らしていたマンションは引き払って、まとまったお金も持っていないと言うんです…」
里奈さん夫婦が暮らすマンションは、リビングと寝室の1LDKです。利便性のいい場所にある代わり、面積はかなり小さめで、人を泊めることは想定していませんでした。
「寝室にはシングルベッドが2つ入っているだけ。リビングのソファは2人掛けで、手を伸ばせばダイニングテーブルに届きます。1泊ならともかく、1週間だなんて…」
その夜は、健太さんが体を縮めながらソファで眠り、里奈さんと絵里さんは寝室のベッドで休みました。
「翌日、夫はしきりに〈節々が痛い〉と言っていました。当たり前ですよね…」
玄関ドアを開けた先の「衝撃の光景」
窮屈な生活が3日目となり、我慢できなくなった里奈さんは会社から夫のケータイに電話をかけ、自分は翌日の金曜日の夜まで、勤務先そばのホテルに泊まる旨を伝えました。
「想定外の出費ですが、仕事から帰ってあの環境では、まったく休まらなくて…」
ところが、絵里さんが実家に戻ったはずの土曜日、里奈さんが帰宅すると2人はダイニングでふつうに談笑しています。
「えっ…!」
健太さんが説明することには、絵里さんはどうしても東京を離れたくなく、かといって扶養内のパート従業員だったため、いきなりの自活はむずかしいというのです。
「就職が決まるまであと少しだけ、住まわせてやってくれないか?」
微笑みながら軽い感じで問いかける健太さんに、里奈さんは爆発してしまいました。
「ハァァ!?」
「君がそんな意地悪な性格だと思わなかった」
「夫は年の離れた絵里さんをとてもかわいがっているんです。でも、別に私と絵里さんは親しいわけではありませんし、絵里さんから歩み寄りがあるわけでもありません」
夫の後ろに隠れて「お義姉さん、怖い…」と怯えてみせる絵里さんに、里奈さんはキレてしまいました。
「だったらずっと2人で暮らせばいいじゃない!」
里奈さんはボストンバッグに身の回りのものを手あたり次第投げ込むと、横浜市の実家に向かいました。
「実家に帰って頭を冷やし、翌日、改めて夫と話し合うために電話をかけたんです。そうしたら…」
健太さんは里奈さんに謝ることもなく、開口一番「君がそんな意地悪な性格だと思わなかった」と言い放ち、「家族なのに冷たい」「思いやりがない」などと言って里奈さんを攻め立てました。
「そのとき〈私はこの人の家族じゃないんだ、ただの同居人なんだ〉って思ったんです。そうしたら、口からスルッと〈離婚だね〉と出てしまいました…」
里奈さんの言葉に「そうだな」と健太さんが返し、あっという間に離婚の流れになってしまいました。
「あんなに仲がよくて、ケンカしたこともなかったのに。数日間、彼の妹が私たちの間に割り込んだだけで、真っ二つになってしまいました」
株式会社CRAYONZが離婚経験者(20代~50代の男女)を対象に実施した「離婚経験者の結婚当時の覚悟と離婚の関係性に関する調査」によると、「離婚に至った原因として、最も近いものは何か」との質問について、第1位は「金銭面での問題や感覚の相違」(27.3%)、第2位は「性格の不一致」(27.0%)、第3位は「異性関係」(11.4%)でした。里奈さんのケースも、「感覚の相違」に該当しそうです。
そして「結婚を決めた当時、パートナーと“ネガティブな将来のリスク”について、話し合ったことはあったか」という質問について、「話し合った記憶はない」が49.6%で第1位でした。
将来のために2人共同で必死に貯蓄していた1,000万円弱の預貯金を1円単位までピッタリ半分に分け、それだけ持って里奈さんは離婚しました。とはいえ、目まぐるしい展開に気持ちが追い付かないといいます。彼との復縁の可能性を尋ねると、里奈さんははっきり首を横に振りました。
「結局私、彼のことがなにも見えていなかったんじゃないかな、と思います。遅かれ早かれ、こうなってしまった気がします」
[資料]
株式会社CRAYONZ
「離婚経験者の結婚当時の覚悟と離婚の関係性に関する調査」
