「残高を見て、思わずため息が出ました」
「毎月9万円で、どう暮らせばいいんでしょうね…」
そう語るのは、団地で一人暮らしをする佐藤和子さん(仮名・74歳)です。
この日も朝一番で近所の金融機関に立ち寄り、ATMで年金の振込を確認しました。画面に表示された残高を見て、思わず肩を落としたといいます。
「分かってはいるんです。今月もこの金額だって。でも、数字を見るたびに現実を突きつけられる感じがして…」
佐藤さんの年金は、老齢基礎年金のみで月およそ9万円。現役時代はパートや短時間勤務が中心で、厚生年金の加入期間がほとんどありませんでした。
佐藤さんの毎月の支出は、決して贅沢なものではありません。
家賃(団地):月4万2,000円
電気・ガス・水道代:月1万5,000円前後
食費:月2万5,000円前後
医療費・薬代:月5,000〜1万円
これだけで、年金9万円のほとんどが消えてしまいます。
「暖房を我慢するか、食費を削るか。どっちかを選ばないといけない月もあります」
冬場は特に厳しいといいます。電気代が上がると分かっていても、寒さを我慢し続けるのは体に堪えます。
佐藤さんの状況は、決して特別な例ではありません。
総務省『家計調査(2024年)』によると、高齢単身無職世帯の平均消費支出は月約14.9万円。一方、可処分所得は12.1万円で、毎月平均2.8万円の赤字が発生しています。
「平均」で見ても足りないのですから、年金月9万円の生活が苦しくなるのは、ある意味当然とも言えます。
また、佐藤さんには子どもがいません。夫は10年以上前に亡くなり、兄弟とも疎遠になっています。
「生活保護を考えることもあるけど…。まだ動けるうちは、自分で何とかしなきゃって思ってしまうんです」
