それでも利用している「高齢者向け制度」
そんな佐藤さんも、すべてを一人で抱え込んでいるわけではありません。
医療費については、後期高齢者医療制度により自己負担は1割。また、市町村の高齢者向け福祉サービスを利用し、月に数回、見守り訪問を受けています。
「誰かが声をかけてくれるだけでも、気持ちは違います」
ただし、こうした制度があっても、日々の生活費そのものが増えるわけではありません。佐藤さんが一番不安に感じているのは、将来の医療や介護です。
「入院したら、差額ベッド代とかどうなるんだろうって。考え出すと、夜眠れなくなります。今は元気でも、ずっとこのままじゃないですからね」
ATMの前で、佐藤さんがため息をつく理由は、単に今所持金が少ないからではありません。
「この金額で、来月も、その先も生きていくんだって思うと、気が遠くなるんです」
それでも、佐藤さんはこう続けました。
「贅沢はできなくても、せめて安心して暮らしたい。それだけなんです」
年金の額は個人の努力だけではどうにもならない側面があります。ATMの前で立ち止まるその背中は、数字では見えない老後の現実を静かに映し出していました。
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
