(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年に入り、「金(ゴールド)」の1g価格が3万円を突破したり、その後に暴落したりするなど、価格の変動が何かと話題になっている。しかしながら、実際には「金の価値」は不変であり、それを取り巻く通貨の価値が上がったり、下がったりしているだけのことなのだ。本記事では、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)から、「金市場」において金の価格が変わる仕組みについて解説する。

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変動しているのは通貨?不変の価値測定単位である「金」

金(ゴールド)の価格が「上がった」とか「下がった」というのは、ある測定基準から判断してそう言っているだけである。

 

金は不変の価値測定単位であり、経済学者や数学者はこれを「価値尺度財(ニュメレール)(訳注・「交換手段」「価値貯蔵」「価値基準」の3つの要素を持つ財)」と呼ぶ。つまり、変動しているのは通貨であって金ではない。

 

金のドル建て価格が1オンス1200ドルから1300ドルになると、人々は金の価格が「上がった」と考える。だが筆者の見方では、金が上がったのではなく、ドルが下がったのだ。

 

これまでは1200ドルで1オンスの金を買えたが、今は1300ドル支払わなければならない。これまでと同じ金額では、少ない金しか買えない。つまり、ドルの価値が下がったのである。

 

この先ドルが強くなると考えたら、人々は金をさほど欲しいと思わなくなるだろう。一方で、ドルが弱くなると考えたら(筆者はそう予測している)、金をポートフォリオに組み入れたいと思うはずだ。

 

金を別の測定基準に関連付ける必要はない。金を貨幣だと考えるだけでよい。金のドル価格はドルの金価格の逆数だから、金とドルは反対方向に動くものだと考えればよい。

 

ドル高になると金のドル建て価格は下がり、ドル安になると金のドル建て価格は上がる。ドルの先行きが心配な場合は(心配するのにはもっともな理由がある)、金を所有するのは理にかなっている。

 

筆者はアメリカに住み、アメリカでドルを稼ぎ、アメリカでドルを使っている。金を買うとしたら、ドルで金を買う。

 

だが、もし日本に住んでいて、円を稼ぎ、円の貯蓄で老後を過ごすつもりなら、話は違ってくる。円がドルに対して安くなっているとしたら、ドル建てよりも円建てで金を買うほうが有利になる可能性があるからだ。金がドルに対して10%下落し、円が20%下落している場合、円建て資産の投資家にとって、円を測定基準にすると金が上がっていることになる。

 

金をグローバルな視点で見るためには、ドル建てだけでなく、あらゆる通貨のクロスレート(訳注・多通貨間の交換レート)を分析する必要がある。

 

数年前にインドで起こったことを例に挙げて説明しよう。インド・ルピーが対ドルで暴落し、インドでの金の販売が鈍化した。これは、インド人が金に対する興味を失ったからではない。当時、金価格はドル建てでは下がっていたが、インド・ルピーで金を買うとしたら価格が上がっていたことになる。だからインド人は金の購入を控えたのだ。

 

やや込み入った関係だが、自分の基準通貨を決めて、ドル建てだけでなくその基準通貨建てでも金の価格を考える必要がある。

 

次ページ投資家への「金」を所有する際のアドバイス

※本連載は、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)より一部を抜粋・編集したものです。

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

ジム・リカーズ

APJ Media 合同会社

本書では、以下の主張を展開していく。 「金は貨幣である」 「金に基づく通貨制度の構築は可能であり、もっと言えば望ましい」 「〝公的な〟金本位制が確立されていないのであれば、個人は資産を守るために、金を購入すること…

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