(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年に入り、「金(ゴールド)」の1g価格が3万円を突破したり、その後に暴落したりするなど、価格の変動が何かと話題になっている。しかしながら、実際には「金の価値」は不変であり、それを取り巻く通貨の価値が上がったり、下がったりしているだけのことなのだ。本記事では、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)から、「金市場」において金の価格が変わる仕組みについて解説する。

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今後「金」を所有するときに注意すべきポイント

これを踏まえて、投資家の方々にアドバイスをしよう。

 

金を所有するときは、金の量をドル建て価格ではなく重さで考えたうえで、自分のポートフォリオ(資産構成)にどのくらい組み入れるのかを判断するべきだ。ドル建て価格にこだわりすぎてはいけない。ドルが急落したら、ドル建て価格は重要ではなくなるからだ。金現物をどれだけ持っているかが重要になる。

 

それでも現実問題として、多くの人は金のドル建て価格を毎日チェックするだろう。価格の変動が激しいため、流動資産に占める金の割合は10%程度にとどめておくべきだ。金は、ポートフォリオに加えるのに魅力的な資産だが、資産を多様化することが賢明である。

投資可能資産の約10%を金にする「長期保有戦略」とは

2014年、オーストラリアを訪れた筆者は、国内最大規模の金地金取引業者に足を運んだ。同社CEOの話によると、同社の売上が最もよかった月は、金価格が急落していたときだったそうだ。

 

小口投資家は、ドル価格が下がると買い得だと考える。金のドル建て価格が急落したとき、金を買い求めた顧客が同社のまわりに長蛇の列をつくった、とCEOは言う。

 

筆者は、投資可能資産の約10%を金にするべきだ、と一貫して投資家にアドバイスしてきた。なぜなら、突然の金融ショックやパニックに備えて資産を守るには、バイ・アンド・ホールド(長期保有)戦略が効果的だからだ。

 

この戦略を取る人は、日々の値動きに一喜一憂しない。売買によって手っ取り早く儲けることが目標ではない。長期にわたって富を維持することが目標だ。とは言え、急激な価格上昇を追うよりも、価格が下がっているときに買うほうがよい。タイミングを適切に見極めることが重要だ。

 

2011年から2015年にかけて長期にわたって金価格は下落し、多くの投資家を落胆させた。だが、資産に占める金の割合がまだ10%に達していない投資家にとっては、この価格の下落は金を買う好機だった。

 

金価格が2011年の高値から下がった理由は簡単に説明がつく。2012年以降、FRBが金融引き締め策をとって人々の認識を変えたことで、ドル高が続いたのだ。

 

2013年5月、FRBは「テーパリング(訳注・量的緩和策による資産買入れ額を段階的に縮小していくこと)」について協議し、12月には実際に紙幣発行を縮小し、さらに2015年3月にはフォワードガイダンスから「patient(将来の利上げを“辛抱強く”待つ)」という表現を削除し、その後も利上げの可能性についてたびたび言及した。

 

その間、ユーロは1.40ドルから1.05ドルに暴落し、日本円も1ドル90円から120円に急落した。2015年には世界の50以上の中央銀行が利下げを行い、ドルに対して自国通貨を切り下げた。2014年後半から2015年後半にかけては、原油、砂糖、コーヒーなど、多くの商品価格が暴落した。デフレ圧力とディスインフレ(訳注・物価上昇率[インフレ率]が低下していく状態)圧力が強まった。

 

次ページ投資家が見極めるべき「現状」と「今後の情勢」

※本連載は、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)より一部を抜粋・編集したものです。

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

ジム・リカーズ

APJ Media 合同会社

本書では、以下の主張を展開していく。 「金は貨幣である」 「金に基づく通貨制度の構築は可能であり、もっと言えば望ましい」 「〝公的な〟金本位制が確立されていないのであれば、個人は資産を守るために、金を購入すること…

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