(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年に入り、「金(ゴールド)」の1g価格が3万円を突破したり、その後に暴落したりするなど、価格の変動が何かと話題になっている。しかしながら、実際には「金の価値」は不変であり、それを取り巻く通貨の価値が上がったり、下がったりしているだけのことなのだ。本記事では、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)から、「金市場」において金の価格が変わる仕組みについて解説する。

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「通貨安」という形で金融緩和の命綱を他国に投げたアメリカ

つまり、期待に違わず、金のドル建て価格が強いドルに屈することになる。投資家が問うべきなのは、「それが続くのか。それが新たな世界情勢なのか」ということだ。その答えは「絶対にない」だ。

 

なぜなら、アメリカがドルの上昇と他国通貨の下落を容認していたのは、他国が助けを必要としていたからだ。日本経済は必死にインフレを起こそうとしていた。欧州経済は、2007年に始まった世界同時株安の中で二度目の景気後退に見舞われていた。ドル高を容認し、円安とユーロ安を容認することで、アメリカは通貨安という形で金融緩和の命綱を他国に投げた。

 

FRBが失敗したのは、アメリカ経済自体がドル高に耐えられるほど強くなかったからだった。2013年にFRBが金融緩和の縮小に舵を切ると、金融政策ラグ(訳注・経済政策が発動されてから実際に効力が発生するまでの遅れ)を伴って、2014年末にはさまざまなデータにディスインフレを示す数値が現れた。

 

デフレを憂慮して金利をゼロに引き下げ、何兆ドルもの紙幣を発行し、さらにあらゆる手を尽くしたら、残された唯一のインフレ誘発(FRBはそれを望んでいる)の方法は、通貨を安くすることだ。

 

FRBが自ら苦境を招いたことを考えると、筆者の予想では、FRBは方針を転換し、量的緩和をさらに進めるかドルを安くすることで再び金融緩和を行わなければならないだろう。どちらの政策を採用しても、金のドル建て価格にとって強気材料になる。

金のドル建て価格の急落は「金市場の価格操作」の可能性も

関連ニュースもないのに金のドル建て価格が急落するときは、金市場で価格操作が行われていると考えて間違いない。この結論を裏付ける統計的・事例的・法科学的証拠もある。金価格の操作は今に始まったことではない。

 

1960年代のロンドン・ゴールド・プール(訳注・ロンドン金市場における金価格の投機的な変動とそれに伴う混乱を防ぐため、金価格を人為的・計画的に調整することに合意した欧州8カ国の中央銀行間の制度)による金の放出や、1970年代後半のアメリカ政府とIMFからの金の放出もそうだ。最近では、2010年にIMFが400トンの金を売却し、価格の上昇を阻害した。最近の学術的研究でも価格操作の証拠が示されている。価格操作は実際に行われているのだ。

 

中央銀行の目標が金価格の無秩序な動きを防ぐことだとしたら、操作をするのは金価格の上昇時だけでなければならない。デフレなどのファンダメンタルズの要因で金価格が下がっており、中央銀行が軟調な価格を望んでいる場合には、望みどおりに推移しているため価格操作の必要はない。

 

価格操作が実際に行われるのは、金価格が堅調で、さらに高値を超えそうなときだ。例えば、2011年8月、金価格が1オンス2000ドルに急速に近づいた。2000ドルというのは重要な心理的攻防ラインであり、そこを突き抜けて大きく上昇する可能性があったため、中央銀行は価格を押し下げるために並々ならぬ努力をしなければならなかった。

 

 

ジム・リカーズ

APJ Media 合同会社

編集長/地政学者/経済学者/弁護士

 

 

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※本連載は、ジム・リカーズ氏の著書『The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない』(APJ Media 合同会社)より一部を抜粋・編集したものです。

The New Case for Gold 投資の正解が見えない時代でも、ゴールドだけは裏切らない

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ジム・リカーズ

APJ Media 合同会社

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