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金市場の特徴は「流動性」と「薄商い」の両立
株式、債券、コモディティなどの市場と比べると、金市場には珍しい特徴がある。
金(ゴールド)には流動性があり、投資家は流動資産に金を容易に組み入れることができる。「流動性がある」とは、市場への影響を最小限に抑えながら比較的容易に金を売買できることを意味する。つまり、投資家の取引によって市場が停滞することはなく、投資家はすぐに(買い手でも売り手でも)取引相手を見つけることができる。
その一方で、金市場は薄商いである。「薄商い」とは、金の総ストック量に比べて取引量が非常に少ないことを意味する。なぜ金市場には珍しい特徴があるのかと言うと、薄商いの市場は、通常は流動性があまり高くないからだ。
ところが金市場に関しては、取引量は多くないのに、取引したい当事者が多いため流動性がある。「流動性」と「薄商い」の組み合わせは珍しい。
金を売りたいのに買い手が見つからないとか、金を買いたいのに買えない、という状況を筆者は見たことがない。
それでも、実際に取引される金現物の量は、世界の総ストックと比べるとあまり多くない。金が薄商いなのは、中央銀行でもインドの花嫁でも、金保有者のほとんどが長期に保有しており、株式や為替の投資家のようにすぐに売買するつもりがないからだ。
つまり、現在の金市場の流動性は、パニック買いが生じたら瞬く間に枯渇する可能性がある。何百万人もの人々が一斉に金を買いに走るが、長期保有者は金価格が高騰したとしても売るつもりはない。通常は、価格が上昇すると売り手はもっと売ろうとするため、均衡が取り戻される。これが基本的な「需給調整」の機能だ――おそらく、経済学入門の授業で習ったことがあるだろう。
だが、「金価格の上昇」だと思われていた現象が、実際には「通貨の信認の崩壊」を表していた場合には、目の前に大量の紙幣を積み上げられても金保有者は金を手放さないだろう。
金価格が上昇すると、もっと売りたいと思うどころか、売りたくないと思う。なぜなら、市場の完全な崩壊という終幕が想像されるからだ。そうなると、「パニック買い」を食い止めるには、政府が金を大量に売却するか、金の新たな固定価格を設定するしかないだろう。
現実の世界では、パニックの原因として、何が考えられるだろうか。
