(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁が公表した最新の所得税調査の結果から、ある明確な傾向が浮かび上がっています。それは、海外投資を行う富裕層が、AI分析を活用した税務調査の最重点ターゲットになっているという事実です。暗号資産や海外投資をめぐる申告漏れは高額化しており、「海外の資産は見えない」という時代はすでに終わりを告げています。最新データをもとに、国税庁の狙いと今後の注意点を読み解きます。

 ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実
奥村眞吾(著)+ゴールドオンライン(編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

 

なぜ国税は富裕層を狙い撃ちにするのか

税務調査は、当然ながら費用対効果が重視されます。

 

低所得者の場合、仮に申告漏れが見つかっても税率は10%前後にとどまり、追徴額も限定的です。

 

一方、年間所得が4,000万円を超える層では、所得税率45%に住民税率10%が加わります。ここに過少申告加算税や延滞税が上乗せされるため、1件当たりの追徴税額は極めて高額になります。国税庁が富裕層に重点を置くのは、合理的な判断といえます。

「富裕層」の定義はすでに変わっている

かつて富裕層は、所得額や資産額といった「数字」で語られることが多くありました。しかし現在、国税庁は別の基準を用いています。

具体的には、

 

・有価証券や不動産を大口で保有している個人
・経常的な所得が特に高額な個人
・海外投資を積極的に行っている個人

 

といった資産構成や投資行動に着目しています。

 

昨年度、こうした富裕層を対象に行われた所得税調査は2,427件に上りました。その結果、1件当たりの申告漏れ所得額は3,449万円という高水準に達しています。

海外投資を行う富裕層は「別格」の数字

さらに注目すべきは、海外投資を行っている富裕層に限定した調査結果です。この層では、1件当たりの申告漏れ所得額が6,680万円に達しました。一般的な調査と比べると、実に5〜6倍という水準です。

 

円安の影響もありますが、それ以上に、海外投資に関する申告の複雑さや認識不足が、巨額の申告漏れにつながっていると考えられます。

AIは何を見て「怪しい」と判断するのか

国税庁は、AIを活用したデータ分析によって、申告漏れの可能性が極めて高い納税者を抽出しています。その判断の軸となるキーワードは、次の4つです。

 

・富裕層
・海外投資
・インターネット取引
・無申告(特に海外所得)

 

もっとも、AIだけで機械的に調査対象を決めているわけではありません。AIの分析結果に、調査官の経験や知見を組み合わせることで、より精度の高い調査選定が行われているとされています。

「海外資産は見えない」という時代は終わった

海外投資をめぐる国際的な税務規制は、年々強化されています。国外送金等調書、国外財産調書、出国税(国外転出時課税)など、制度面でも監視の網は確実に広がっています。それにもかかわらず、海外脱税で摘発されるケースの多くは、「海外の資産なら税務署には分からないだろう」という安易な認識に基づいています。

 

これからの時代、海外投資を行う富裕層にとって最も重要なのは、早い段階で国際税務に精通した専門家へ相談することです。適切な申告と管理を怠れば、追徴課税だけでなく、社会的信用や名誉という、金額では測れない損失を被るリスクもあります。

 

AI時代の税務調査は、すでに始まっています。「知らなかった」「昔は大丈夫だった」という言い訳は、もはや通用しません。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

ゴールドオンライン・エクスクルーシブ倶楽部が

主催する「資産家」のためのセミナー・イベント

 

【4月22日開催】
資産規模5億円以上の方のための
「資産管理会社」のつくり方・つかい方<第1回/総論>

 

【4月23日開催】
相続対策をイチから学びたい方のための
今すぐできる「相続税対策」<税制改正対応版>

 

【4月23日開催】
サブリース業者がさらにサブリース業者に転借していた…
こんな時、サブリース契約解除が認められるのか?
「サブリース契約解除」に関する最近の裁判例と問題点

 

 

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧