Z世代にも広がる「ペットの家族化」
ペット保険大手のアイペット損害保険株式会社が2025年に実施した調査によると、20代(Z世代)の飼育者のうち約3割が「ペットを家族として迎え入れた」と回答している。また、「うちの子の一生を守りたい」と答えた人も約4割に上り、若い世代にもペットを“家族”として受け入れる意識が確実に根づいていることがわかる。
さらに、63.7%が「ペットは日常の癒しになる」と回答し、過半数がSNS上でペットとの日常を発信していることも明らかになった。一方で、「突然の別れへの不安」(39.3%)や「経済的負担」(28.5%)を感じている人も多く、ペットの“将来”をどう守るかが、世代を超えて共通の課題となりつつある。
こうした意識の変化は、今後「ペットの相続」や「ペット信託」といった制度の必要性を一層高めるものであるといえよう。
ペットは遺産を相続できないが…
日本の民法上、ペット(動物)は「物」として取り扱われる(民法第85条)。したがって、土地・建物・預金などと同様に相続財産のひとつとして扱われることになるが、ペットそのものが遺産を“受け取る側”になることはできない。
飼い主が亡くなった場合、相続人が複数存在する場合は、遺産分割協議によりペットを誰が引き取るかを決定する必要がある。しかし、生前に何の手続きも行っていないと、ペットの引き取り手や飼育費用の負担をめぐってトラブルが生じることがある。
ペットの世話を条件として財産を引き継ぐ3つの方法
ペットの世話を条件として財産を承継させるための法的手段として、次の3つの方法が考えられる。
●負担付遺贈
●負担付死因贈与
●ペット信託
●負担付遺贈――ペットの世話を条件に財産を譲る方法
負担付遺贈とは、遺言書により財産を遺贈する代わりに、受遺者にペットの世話を義務づける方法である。
たとえば、高齢のAさんが独り暮らしの猫の将来を案じていたとする。公証人立会いのもと、友人Bさんに「ミケの世話を条件に、100万円を遺贈する」とする負担付遺贈の遺言書を作成し、死後、遺言執行者が手続きを進めれば、Bさんが正式に猫を引き取ることができる。猫は新しい環境で穏やかに暮らし、Aさんの願いが実現することになる。
このように、公正証書遺言として作成しておくことが推奨される。ただし、受遺者が遺贈を拒否することもできるため、生前に合意を得ておくことが重要である。また、履行されない場合には、家庭裁判所に遺贈の撤回を申し立てることができる。
●負担付死因贈与――生前契約により確実に託す方法
負担付死因贈与とは、生前に「死亡時に財産を贈与する」契約を締結し、その際にペットの世話を義務づける方法である。この契約は贈与者と受贈者の合意により成立するため、負担付遺贈より法的拘束力が強い。
Cさんは、信頼できる知人Dさんと契約を交わし、「自分が亡くなったら、Dさんが愛犬ポチの世話をする代わりに、預金の一部を受け取る」という負担付死因贈与契約を締結するとしよう。公正証書を作成し、死因贈与執行者を指定したことで、死後もスムーズに手続きが進み、愛犬ポチの生活が途絶えることはないだろう。
●ペット信託――財産と飼育を分離して確実に守る方法
ペット信託とは、飼い主(委託者)が信頼できる人物または法人(受託者)と信託契約を締結し、ペットの飼育に必要な財産を託す制度だ。
Eさんは、愛犬の医療費が高額になることを懸念し、信託会社を通じてペット信託を設定。信託財産として300万円を預け、死亡後は受託者が管理費を支払い、指定した知人が飼育を継続。信託監督人が定期的に報告を受けることで、ペットの生活を法的に保障することが可能だ。
この制度は、長期的な飼育費用の管理や監視体制を整えることができるため、特に単身世帯に適している。
ペットの世話費用と管理上の留意点
ペットの引取人が確定するまでの間も、餌代や医療費などの費用は発生する。これらの費用は相続財産の維持管理費用(民法第885条)に該当するため、遺産から支出できる。他の相続人が費用負担を拒む場合には、共有物の管理費用(民法第253条)として償還を求めることが可能だ。
また、ペットを遺棄する行為は「動物の愛護及び管理に関する法律」により禁止されており、違反した場合は懲役または罰金の刑罰が科される。
ペットの未来を守るために
ペットは法律上「物」として扱われるが、飼い主にとってはかけがえのない家族であるといっていいだろう。愛するペットの生活を守るためには、負担付遺贈・負担付死因贈与・ペット信託といった法的手段を適切に選択し、信頼できる人物や専門家と相談しながら、計画的に準備を進めることが重要のようだ。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
\1月20日(火)11:00配信/
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