(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人の関心ごととなった「終活」だが、最近では財産整理や遺言作成だけでなく、「自宅をどうするか」という住まいの問題が大きなテーマとして浮上している。こうした流れのなかで注目されているのが「終活リフォーム」だ。高齢期を安心して過ごすための改修であると同時に、相続を見据えた住まいの整理でもある。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

50〜79歳の男女「終活をすでに始めている」が4割超

ハルメクホールディングスが公表した「終活に関する意識・実態調査2025」によると、50〜79歳の男女2,016人のうち、「終活をすでに始めている」と回答した人は44.0%に達した。

 

さらに「いずれ始めたい」と答えた人を含めると、多くのシニアが終活を遠い将来の話ではなく、すでに身近な課題として捉えていることが分かる。

 

終活は、死の準備というよりも「人生後半の再設計」として認識されつつある。

終活にかかる平均費用は約503万円

終活にかかった費用についても調査している。その結果、終活実施者の平均費用は約503万円に上ったという。

 

費用の内訳は、

 

●投資信託・株式投資の開始

●保険の見直し

●葬儀や墓の準備

●自宅のリフォームや不動産整理

 

などが含まれている。

 

終活とは、「お金をかけずに身辺整理をすること」ではない。限られた資産をどう使い、どう残すかを考える、極めて資産管理的な行為でもある。

なぜ「終活リフォーム」が注目されるのか

終活において住まいが重要視される理由は明確だ。多くの家庭にとって、自宅は最大の資産である一方、最も扱いに困る財産でもあるからだ。

 

●老朽化して売却しにくい

●相続人が住む予定がない

●空き家になりやすい

 

こうした問題を放置すると、相続後にトラブルや想定外の税負担を招く可能性がある。そのため近年は、生前に住まいを整え、「住み続ける」「売る」「貸す」という選択肢を残す終活リフォームが注目されている。

終活リフォームは相続税対策になるのか

終活リフォームについて、「相続税対策になるのでは」と期待する声は少なくない。しかし結論から言えば、すべてのリフォームが相続税対策になるわけではない。

 

相続税における不動産評価は、原則として、

 

土地:路線価

建物:固定資産税評価額

 

によって行われる。

 

このうち建物については、リフォーム内容によって評価額に影響を与える場合がある。老朽化した住宅を大規模に改修したり、設備や内装を大きくグレードアップしたりすると、結果として建物評価が上がり、相続税評価額が高くなるケースもある。

 

つまり、「リフォーム=節税」と短絡的に考えるのは危険ということだろう。

相続税対策になりやすい終活リフォーム

一方で、相続税の観点から見て、意味を持ちやすい終活リフォームも存在する。

 

◆小規模宅地等の特例を確実に使うための改修

被相続人が居住していた自宅の土地は、一定の要件を満たせば、小規模宅地等の特例により、土地評価額を最大80%減額できる。高齢期にバリアフリー化などを行い、「実際に住み続けている」状態を明確にしておくことは、この特例の前提となる居住実態の裏付けとしても重要だ。

 

◆空き家リスクを抑え、相続後の税負担を防ぐ

相続後に空き家となり、管理不十分と判断されると、固定資産税の住宅用地特例が外れ、税負担が大きく増加する可能性がある。生前に最低限の修繕や整理を行い、売却や賃貸が可能な状態にしておくことは、相続後の税務・管理両面でのリスク回避につながる。

 

終活リフォームを現金で行えば、その分だけ現金資産が減少し、結果として相続財産の総額を圧縮する効果が生じる。ただし、相続直前に行われた高額リフォームや、居住実態を伴わない改修については、税務上の確認対象になりやすい点には注意が必要だ。

2026年度税制改正大綱が示す「住まい」の方向性

2026年度税制改正大綱では、住宅・不動産分野において「既存住宅の活用促進」が重要な柱のひとつとして示されている。これまでの新築中心の政策から、今ある住宅をどう活かすかへ――政策の重心は確実に移りつつあるといえそうだ。

 

●リフォーム関連税制優遇措置の継続・延長

●中古住宅・既存住宅を前提とした制度設計

●空き家・老朽住宅対策の強化

 

こうした方向性は、終活リフォームとの親和性が高い。

相続税対策にならないリフォームとは

相続税対策のつもりで行ったリフォームが、かえってリスクを高めるケースもある。

 

●相続直前の過度に高額な改修

●相続人のためだけに行われた改修

●実際の居住や生活改善につながらない工事

 

終活リフォームにおいて重要なのは、「誰のためのリフォームか」「合理性があるか」という点だろう。

終活住宅の分かれ道は「相続しやすさ」

終活リフォームの本質は、節税テクニックではない。

 

●自分が安心して暮らせるか

●相続人に過度な負担を残さないか

●住まいを「負の遺産」にしないか

 

2026年度税制改正大綱は、こうした住まいを社会全体で増やすための環境整備の一環といえる。

 

相続税対策になるリフォーム、ならないリフォーム――その分かれ道は、「相続しやすい住まいになっているか」ということだろうか。制度を理解し、目的を誤らずに住まいを整えること。それこそが、これからの終活住宅に求められる視点だろう。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 \1月20日(火)11:00配信/
 調査官は重加算税をかけたがる 
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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