(※写真はイメージです/PIXTA)

一人暮らしを始めた子どもが、きちんと食べているのか、無理をしていないか。親であれば、離れて暮らしていても気がかりになるものです。特に都市部では、家賃や物価の上昇により、若年層でも「働いてはいるが生活に余裕がない」ケースが珍しくありません。総務省『家計調査(2024年)』によれば、単身勤労世帯の消費支出は月平均約17万円。数字上は生活できていても、実態は綱渡り――そんな若者も少なくないのが現実です。

電話越しの違和感

「最近、声に元気がない気がして……」

 

そう語るのは、地方在住の主婦・佐藤恵子さん(仮名・54歳)です。東京で一人暮らしをする息子・健太さん(仮名・25歳)は、大学卒業後に就職。現在は都内の中小企業で働き、手取りは月22万円ほどだといいます。

 

「電話すると、いつも『大丈夫だよ』『ちゃんとやってる』って言うんです。でも、前みたいに明るく話さなくなっていて……」

 

LINEの返信も短くなり、通話を早めに切りたがる様子。「忙しいのかな」と思いながらも、恵子さんの胸には小さな引っかかりが残っていました。

 

心配が募った恵子さんは、ある週末、「近くまで来たから」と息子に連絡し、アパートを訪ねることにしました。

 

築30年ほどの木造アパート。ドアを開けた瞬間、恵子さんは言葉を失います。

 

「部屋に、ほとんど物がなかったんです」

 

ベッドと机、床に置かれたノートパソコン。冷蔵庫を開けると、ペットボトルの水と、使いかけの調味料が数本あるだけ。

 

コンロにはフライパンがひとつ。シンクには、洗われていないカップが残っていました。

 

「ちゃんと食べてるの?」と聞くと、健太さんは視線を落としました。

 

「……昼は会社で適当に。夜は、あんまり」

 

話を聞くうちに、家計の内訳が見えてきました。家賃は月8万5,000円。そこに光熱費、通信費、奨学金の返済。社会保険料も差し引かれ、自由に使えるお金はほとんど残りません。

 

「自炊しようと思っても、帰りが遅くて。コンビニは高いし、結局、ほとんど食べない日もある」

 

「心配かけたくなかった」

 

「言ったら、母さんが心配すると思って」

 

健太さんは、そう繰り返しました。

 

仕事は辞めたくない。弱音も吐きたくない。でも、余裕はない――その板挟みの中で、「何も言わない」選択をしていたのです。

 

「ちゃんと稼いでるし、迷惑はかけてないから……」

 

恵子さんは、その言葉を遮りました。

 

「迷惑なんて思わない。ちゃんと食べて、眠れて、普通の生活ができてるか――それが一番大事でしょう」

 

 \1月20日(火)11:00配信/
 調査官は重加算税をかけたがる 
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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