ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
データで読み解く「日本経済」のリアル【エンタメ・スポーツ・事件編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
データで読み解く「日本経済」のリアル【季節&気象・マインド・おもしろジンクス編】
宅森昭吉(著)+ゴールドオンライン(編集)
富裕層の資産承継と相続税 富裕層の相続戦略シリーズ【国内編】
八ツ尾順一(著)+ゴールドオンライン(編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
コロナの影響で帰国も、あきらめ切れなかった日本への思い
「ずっと日本に憧れがありました。このまま日本に住み続けたいです」
2024年10月、京都市郊外にある私立の京都芸術大学。同大大学院でゲームなどのキャラクターデザインを学ぶ2年生の中国人女子留学生、李雅霖[リーヤリン]さん(28)に、日本に留学した理由をたずねると、すぐにこんな言葉が返ってきた。
李さんは中国南部の中核都市、広東省広州市の出身。両親と10歳年下の弟との4人家族で、いわゆる中流家庭に育った。
幼い頃からポケモンなど日本のゲームに夢中になっていたといい、日本への強い憧れから、中学校に入ると、「英語の勉強をしっかりするように言う母には内緒で、日本語の勉強ばかりをしていました」と、李さんは話す。
そんな彼女は中国の大学を卒業後の2019年、いよいよ憧れの日本への留学を決める。だが、運には見放された。東京の語学学校で本格的に日本語を学び始めようとしたところ、まさかの新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われた。李さんは、すぐに帰国を決めざるを得なかった。
帰国後、地元の広州市にあるゲーム会社に就職し、イラストを描く仕事に就けたまでは、まだ良かった。だが、とにかく残業が多い会社で、「やることがあまりなくても、なぜか社内にダラダラと残る社員が多く、私も毎朝9時から夜9時までは、仕方なしに会社に残っていました」と、振り返る。
「中国の企業は、本当に生産性が低いと思いました。私にはとても理解できませんでしたね」
オンラインで大学院試験を受験、再び叶えた日本での学生生活
そんな思いを抱えながら、李さんは約1年間、悶々とした日々を中国で過ごす。だが、彼女はどうしてもあきらめ切れなかった。考えた末、再び日本行きを目指す。
そして新型コロナの収束を待ちながら、中国からでもオンラインで受けられた京都芸術大学の大学院試験に見事合格。2023年4月から京都での学生生活をスタートさせた。
「中国にいた頃は、少し考え方がネガティブになっていました。それが日本に来てからは、日本で働きたいという明確な目標ができ、考え方がすっかりポジティブになりました」。李さんは中国で過ごした日々を振り返りながら、目を生き生きと輝かせた。
「私には日本の生活が合っています。自分で描いたゲームキャラクターを将来、世の中に送り出すのが今の夢です」
大学院修了をにらみ、2024年から始めた就活では、日本のゲーム会社ばかりを10社ほど受けたという。その中から、内定をもらった東京のゲーム会社で働くことが決まり、李さんは「ずっと日本で働きたいです。中国に帰ることはもう考えていません」と明かした。
なるほど。ここまでの話なら、世の中にはまあ、そんな中国の若者もいるだろう、で終わってしまう。だが「本題」はやはり、ここからだった。
日本に来て、2年余りとまだ日も浅い、李さん。だが、早くも視野に入れているのは日本での「永住権」の取得であると、彼女は明かした。
ようやくここで、あの埼玉の移住支援エージェントの女性担当者が口にした、キーワードが登場した。美大人気と永住権の関係である。そして李さんのその後の話と、取材班の調べを重ね合わせると、次から次へと芋づる式に色々なことが分かってきた。

