(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親が生活に困窮しているように見えるにもかかわらず、家族の支援を強く拒む――。こうしたケースは、決して珍しいものではありません。総務省『国民生活基礎調査(2024年)』によると、高齢者世帯のうち58.9%が生活について「苦しい」「やや苦しい」と感じている一方で、家族や公的支援に「頼りたくない」と考える人も一定数存在します。背景には、経済的事情だけでなく、「自立していたい」「弱みを見せたくない」という心理もあるようです。

それでも“放っておく”わけにはいかず…

高橋さんは悩んだ末、直接的な仕送りではなく、地域の支援センターに相談する道を選びました。

 

「父には言わずに、まず外から支援につなごうと思ったんです」

 

結果、見守り訪問と配食サービスが導入されました。正一さんは当初こそ不機嫌でしたが、「金をもらうわけじゃない」「決まった人が来るだけ」という説明には、かろうじて納得したといいます。

 

「完全に受け入れたわけではありません。でも、少なくとも灯油が切れることはなくなりました」

 

助けを拒む高齢者に対し、家族ができることは限られています。無理に支援すれば関係が壊れ、放置すれば命に関わる――その狭間で、多くの家族が揺れています。

 

高齢者の自尊心と安全をどう両立させるか。「灯油はもういい」「パンはカビても食える」――その言葉の裏にあるのは、頑なさだけではなく、孤立と不安なのかもしれません。

 

家族だけで抱え込まず、制度や第三者の手を借りること。それもまた、“尊厳を守る支援”の一つの形なのです。

 

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