(※写真はイメージです/PIXTA)

トランプ大統領が2025年12月18日に署名した複数の大統領令のなかには、連邦職員の休日拡大や医療用大麻研究の促進といった、一見すると脈絡のない政策が並んでいます。しかし、その背景を読み解くと、そこには「税制」を軸とした明確な狙いが見えてきます。特に医療用大麻をめぐる薬物分類の見直しは、研究開発投資や企業収益、さらには雇用創出にまで影響を及ぼす可能性を秘めています。本稿では、年末の異例の休日措置から大麻政策の転換まで、トランプ政権の大統領令がもたらす実務的インパクトを整理します。

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薬物分類見直しの“本当の狙い”

それでは、今回の薬物分類見直しの本当の狙いはなんなのでしょうか。実は、最大の影響を受けるのは税制です。米国税法では、Schedule Iに分類される薬物を取り扱う事業者については、原則として事業に必要な経費を損金算入できないとされています。

 

たとえば、売上が100万ドル、経費が80万ドルの企業を想定します。通常の企業であれば、課税所得は20万ドルとなり、法人税率21%を適用すると、税額は4万2,000ドルです。

 

しかし、Schedule Iに該当する薬物を扱う企業の場合、80万ドルの経費が控除できないため、100万ドル全額に課税され、税額は21万ドルとなります。これは、本来の利益20万ドルを上回る税負担であり、事業としては事実上成り立たない水準といえるでしょう。

 

このような状況を踏まえると、今後、医療用大麻の研究を行う企業は、税務上・ビジネス上の両面で大きな転機を迎える可能性があります。さらに、トランプ政権の「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」による税制改正により、研究開発(R&D)費用を全額経費計上できる制度が導入されました。

 

これにより、大麻を活用した医療研究への投資が一段と活発化し、雇用の拡大や医療分野での技術革新が進む可能性があります。

 

将来的には、この分野からユニコーン企業が誕生することも十分に考えられるでしょう。日本ではなかなか想像しにくい動きですが、アメリカならではの政策転換が、新たな産業を生み出す契機となるかもしれません。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

 

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