今回は、FX法人の設立で諸費用を「経費」として計上できるメリットを見ていきます。※本連載では、株式会社エーエスシー代表取締役・公認会計士・税理士である中村健一郎氏、同社FXチーム統括・課長、成田晋氏の共著『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』(エーエスシー出版部)の中から一部を抜粋し、FXトレーダーが法人口座を作り、運営していくため設立準備などを、FX法人設立のメリット、デメリットを中心にご紹介します。

「経費」とは法人が事業のために使ったもの

経費枠の広さ

FX法人にかかわらず、株式会社や合同会社のような営利を目的とした法人は、その行為は基本的に事業にかかわる営利目的とされています。

 

つまり、法人が使ったオカネは、基本は法人が事業に使ったものとされます。

 

もちろん、そのうち役員等の個人が使ったと明確に区分できるものは法人の経費から外さなければなりません。

 

これは、個人が行う場合とちょうど逆の考え方になります。

 

個人が使ったオカネは、基本は個人が自分のために使ったものとされるからです。

 

その中からFXのために使ったと明確に区分できるものだけを抜き出して、FXのための所得から控除できるにすぎません。

 

特に、親族への給与や家賃、クルマの減価償却費、節税用の経営者向けの生命保険、といったものを個人がFXを行って得た所得から費用として控除することはできませんから、このようなものまでを経費にしたいとお考えの場合には、法人化以外にありえないことになります。

 

なお、ここで法人が使ったもの=経費としましたが、さらに言えば、法人が事業のために使ったもの、と言うのが正確です。

 

事業以外の目的で使ったものは、使った役員の給与に認定されたり、通常の経費として認めてもらうことができません。

 

つまり、会社の費用にしたければ、仮にこじつけであっても事業のために使ったことを主張できなければなりません。

早めに「事業年度」を終わらせる手も

決算期を選べる・変更できる

個人の決算期は12月と決まっています。

 

しかし、会社の決算は何月にすることもできますし、変更することもできます。

 

ただし、12ヶ月間以上の事業年度は認められませんので、変更する場合には短くすることしかできません。

 

ただ、このことは早めに事業年度を終わらせてしまうことができる、ということを意味していて、税務上有利に使える余地があります。

本連載は、2016年11月刊行の書籍『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

中村 健一郎 成田 晋

株式会社エーエスシー出版部

FXトレーダーが法人口座をつくって運営していくためのバイブル本。その設立準備から、銀行口座開設、FX口座開設、運営上の課題、具体的な節税方法についてわかりやすくご紹介。 初版から数年が経ち、FX法人の始まりから成功す…

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