今回は、FX法人の設立の際、「合同会社」と「株式会社」のどちらを選ぶべきかを見ていきます。※本連載では、株式会社エーエスシー代表取締役・公認会計士・税理士である中村健一郎氏、同社FXチーム統括・課長、成田晋氏の共著『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』(エーエスシー出版部)の中から一部を抜粋し、FXトレーダーが法人口座を作り、運営していくため設立準備などを、FX法人設立のメリット、デメリットを中心にご紹介します。

FXのためだけに設立するのなら「合同会社」で十分

【合同会社】

 

ひとことで言うと「低コストだが、対外的信用度はいまいち」

 

合同会社は、出資者がそのまま役員になる、比較的小さな会社を想定した制度です。

 

そのため、株式会社よりも低コストで簡単に設立することができます。また、役員に任期がないことから設立後に定期的に登記する必要もありません。さらに、決算公告の義務もありません。(株式会社でも公告を行わないところが多いのですが)

 

なお、設立後の会計や税金の取扱は株式会社とまったく同じです。

 

対外的信用は株式会社に劣りますので、一般的には小規模な会社や個人の資産管理会社などに使われることが多い会社形態といえます。

 

ただ、FXや個人の資産管理・運用のためだけに設立するのであれば、合同会社でまったく問題ないでしょう。

 

銀行口座の開設にあたっても不利益を受けることはないようです。

対外的信用度は高いが、設立コストも高い「株式会社」

【株式会社】

 

ひとことで言うと「合同会社よりコストは高いけれど、信用度あり」

 

株式会社は、役員以外の出資者(株主)もありえる、比較的大きな会社を想定した制度です。

 

ただし、小さな株式会社では、株主=役員である、オーナー会社であることが一般的です。

 

設立のコストは合同会社よりも高くなります。

 

また、最大10年おきにすることはできますが、設立後も定期的に役員の改選・留任状況を登記する必要があります(この登記にはオカネがかかります。)。

 

対外的信用度は合同会社よりも高く、FX以外の事業目的がある。他人の出資を受け入れる予定がある。あるいは自分は出資だけして別の人を役員にする。

 

という予定があれば、株式会社が適しています。

 

ちなみに、合同会社でも、例外的取扱ながら出資だけして別の人を役員にすることは可能です。

本連載は、2016年11月刊行の書籍『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

中村 健一郎 成田 晋

株式会社エーエスシー出版部

FXトレーダーが法人口座をつくって運営していくためのバイブル本。その設立準備から、銀行口座開設、FX口座開設、運営上の課題、具体的な節税方法についてわかりやすくご紹介。 初版から数年が経ち、FX法人の始まりから成功す…

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