今回は、FX法人の設立で税金が高くなってしまうケースについて見ていきます。本連載では、株式会社エーエスシー代表取締役・公認会計士・税理士である中村健一郎氏、同社FXチーム統括・課長、成田晋氏の共著『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』(エーエスシー出版部)の中から一部を抜粋し、FXトレーダーが法人口座を作り、運営していくため設立準備などを、FX法人設立のメリット、デメリットを中心にご紹介します。

個人のFX利益は税率20%の申告分離課税

FXを行う個人にかかる20%の雑所得、申告分離課税。

 

これ自体は決して不利な税制ではありません。

 

申告分離であるとは、所得がどんなに高い人が取引をして儲けても20%を超えて課税されないことを意味していますし、この20%自体が給与所得などに比べるとかなり低いものだからです。

 

法人関連の税率は下がっているとはいえ、どんなに低い税率が適用される法人(会社を前提としています)でも地方税を含めれば21%以下になることはなく、さらにたくさん稼ぐと40%近い税率になります。

 

【図表】 利益(所得)に対する税金:中小企業400万円までの税率

 

したがって、法人化によって実質的にこのメリットを捨てるようなことがあれば、デメリットとなります。

 

このデメリットが出現しやすいのは、経費を計上しきれないような莫大な利益が安定的に出るような場合です。

個人のままが良かった・・・となるケースとは?

参考までにイメージをお伝えすると、個人レベルでFXだけをやっている場合。

 

月百万程度の利益なら、経費をうまく使って所得分散もしながら20%の分離課税をしのぐ節税効果が出せる可能性が高くあります。

 

しかし、月1千万の利益が安定的に出て、年間1.2億円の利益がFXだけで出る場合、個人で20%の税金を甘んじて受けてしまった方が簡単だし税額も安かったということは十分ありえます。

 

仮に1.2億の利益でもこれに対抗していく節税対策はあるわけですが、「節税」=その多くが税金の将来の繰延であることを考えると、特に、オカネをもともと使わない人は、経費になるものが人よりも少ないわけですから、個人のままが良かったかも、ということになりやすいと言えます。

 

なお、会社で別のビジネスもやっている、となると話は当然変わってきます。

 

上記はあくまでもFXだけをやっている人が、個人と会社とでどう変わるかを示しています。

本連載は、2016年11月刊行の書籍『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

中村 健一郎 成田 晋

株式会社エーエスシー出版部

FXトレーダーが法人口座をつくって運営していくためのバイブル本。その設立準備から、銀行口座開設、FX口座開設、運営上の課題、具体的な節税方法についてわかりやすくご紹介。 初版から数年が経ち、FX法人の始まりから成功す…

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