今回は、自由に使うことは難しい「FX法人のオカネ」について見ていきます。※本連載では、株式会社エーエスシー代表取締役・公認会計士・税理士である中村健一郎氏、同社FXチーム統括・課長、成田晋氏の共著『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』(エーエスシー出版部)の中から一部を抜粋し、FXトレーダーが法人口座を作り、運営していくため設立準備などを、FX法人設立のメリット、デメリットを中心にご紹介します。

FX法人は自分個人とは別人格

自分が支配しているFX法人がたっぷりオカネを持っているような場合、これを個人で引き出して違う使途に使いたいということがあるでしょう。

 

その場合でも、自分のお財布に入っているオカネのようには簡単に動かすことはできません。

 

なぜなら、あくまでもFX法人は自分個人とは別人格であって、そこからオカネを引き出す場合には

 

会社から貸付(または仮払)を受ける。

 

会社に貸していたオカネ(経費の未精算額や給与の未払額を含む)を返してもらう。

 

会社から給料をもらう。

 

会社から配当をもらう。

 

といった理由付けが必要だからです。

「給料」の認定で徴収される源泉所得税

これをあいまいにして引き出したままにすると、の給料としての認定を受けてしまうことが起こります。

 

この認定を受けると、給料だから源泉所得税の徴収がされていなければならないので、遡って納付してくださいと言われてしまいます。

 

また、この納付はいったん会社が納付しますが、その支給を受けた本人が負担すべきものなので、最終的には個人から徴収されることになります。

 

ちなみに、役員相手に臨時の給与(=役員賞与)を払った認定を受けることはこの部分は経費にならないことを意味しています。

(これについては、7.1も参照してください。※書籍参照)

 

また、の給料ではなくの貸付の扱いを受けたとしても、今度は受けた貸付であれば金利を支払う必要があるとして、

 

・金利相当額を会社からもらった扱いになって源泉徴収。

 

・会社はもらっていないけど受取利息を利益に計上。

 

・支払った会社は、前述のとおり費用にならない役員賞与。

 

といった面倒な話がどんどん出てきます。

 

このようなハードルがあるため、自分の会社のオカネなのに自由に動かせないという状況が起こることになります。

本連載は、2016年11月刊行の書籍『なぜあのFXトレーダーは社長になれたのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

なぜあのFXトレーダーは社長になったのか 二訂版 ~FXのための会社設立と運営ガイド~

中村 健一郎 成田 晋

株式会社エーエスシー出版部

FXトレーダーが法人口座をつくって運営していくためのバイブル本。その設立準備から、銀行口座開設、FX口座開設、運営上の課題、具体的な節税方法についてわかりやすくご紹介。 初版から数年が経ち、FX法人の始まりから成功す…

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