不動産の利益とFXの損失を相殺することも当然可能
損益の通算
あまり注目されることが多くありませんが、法人で取引を行うことの大きなメリットが、FXの損失や利益を、不動産を含む他の事業によるものと一緒に計算できることです。
個人であれば、FXで損失が出たが、賃貸不動産で利益が出ている、といったとき、賃貸不動産による利益とFXの損失を相殺することはできません。
なぜなら、個人にとって、賃貸不動産の所得は「不動産所得」であって、FXで生じた所得「先物取引に係る雑所得等」と区分が違い、通算も認められないからです。
同様に個人であれば、FXで生じた利益を、他のビジネスプラン進出のために使った費用や損失と相殺することもできません。
なぜなら、個人にとって、他のビジネスによる所得は「事業所得」であって、FXで生じた所得と区分が違うからです。
一方、これが法人であるとどうでしょう。
当然通算することができます。
事業はもちろん、不動産だろうが、FXだろうが、法人にとっては同じ利益であって損失だからです。
FXは大きな投資テーマであることはたしかですが、それだけを一生やっていきたい人は多くないはずです。
私共ASCのお客様を見ていても、FXの傍ら、面白そうな事業へ投資したり、不動産投資を進められる方も少なくありません。
このような状況を考えるに、個人に厳格に存在する所得区分をまたぎ、当然のように損益通算がされるFX法人の設立には大きなメリットがあると考えることができるでしょう。
主婦がFXで利益をあげると扶養外れの可能性もあるが…
完全な副業(個人との切り離し)
前々回ご紹介した確定申告での住民税の分離方法を取ったとしても、しょせん自らがFXに投資して儲けたり損している事実には変わりありません。
お勤めの会社に個人の確定申告書を求められることはめったにないでしょうが、仮に求められたら当然にわかってしまいます。
また、個人で住宅ローンを借りようとした場合には、確定申告をしている人は源泉徴収票ではなく、確定申告書を求められますが、そこでFXで大きな取引をしていることがわかった場合、融資の判断に影響を与える可能性があります(FXで積極的に大きな取引をしている人は、何もせずに会社勤めしている人よりも安定感に乏しいと判断される可能性は十分にあります)。
しかし、FX法人化している場合はどうでしょうか?特に自分が役員に就任していない場合には、完全に別人格となって少なくとも書類上の関係は切断されることになります。
このFX法人で大きな取引をしようが、別のビジネスをしようが、個人とは直接関係がありませんから、個人の確定申告書に影響を与えません。
法人化には、副業としてのFXと個人との関係を切断する効果もあるのです。これは主婦がFXで利益をあげる際の扶養外れを回避する策としても使われることがあります。