寿司1貫約20グラム、原価は約4万2,000円にも
東京・築地に本店を構える「つきじ喜代村すしざんまい」は、1月5日の初競りで青森県大間産のクロマグロを落札した。落札価格は5億1,030万円(243キログラム)に達し、1999年の記録開始以来、史上最高額となった。
これを寿司1貫(約20グラム)に換算すると、単純計算で1貫あたりの原価は約4万2,000円にものぼる。大トロなどの部位によっては、原価だけで5万円を超える計算だ。
これほどの高額原価にもかかわらず、同店では通常価格で提供するとしており、このマグロ単体で見れば、売上から原価を差し引いた時点で「巨額の赤字」になると考えられる。
落札した「すしざんまい」側の税務(法人)
すし店側にとって、この5億円は「事業上の支出」として処理される。
原則として、販売目的で購入したマグロは「売上原価(仕入)」に該当する。ただし、通常の仕入価格を大きく上回る、いわゆる「ご祝儀価格」の部分については、
●テレビ・新聞・インターネット等による全国的な報道効果
●企業名の露出によるブランド価値の向上
といった効果を狙った広告宣伝費的な性質を併せ持つと考えられる。
税務上も、通常の仕入価格を大幅に超える部分について、広告宣伝を目的とした支出である合理性が認められれば、販売費及び一般管理費として処理される余地があるようだ。
法人税への影響
法人の所得は、「売上高 − 売上原価 − 販売費・一般管理費」によって算出される。5億円という多額の支出が計上されれば、その分、営業利益は圧縮され、結果として法人税の負担は軽減される。
もっとも、現金は実際に5億円支出されているため、単なる節税対策というよりも、年間数億円規模に及ぶこともある広告宣伝費を、初競りという高い話題性に集中投下した戦略的な投資と捉えるのが妥当であろう。
釣り上げた「漁師」側の税務(個人事業主)
一方、マグロを釣り上げた漁師側にとって、この5億円は「事業収入」となる。
報道などによれば、落札価格5億1,030万円から、漁協や荷受会社などの手数料(約12〜15%程度)を差し引いた後、漁師の取り分は約4億4,000万円前後と推計されている。ここからさらに、燃料代や人件費、船舶の維持費などの必要経費を差し引いた金額が、課税対象となる「所得」となる。
救済策としての「変動所得」と「平均課税」
日本の所得税は、所得が高いほど税率が上がる超過累進税率(最高45%)を採用している。仮に4億円超の所得に通常の課税が行われれば、住民税と合わせて、手取りの約半分が税金として徴収されかねない。
そこで、マグロ漁のように年ごとの収入変動が極端に大きい業種については、所得税法上の「変動所得」(所得税法2条1項23号)に該当する可能性がある。さらに一定の要件を満たせば、「平均課税(五分五乗方式)」を選択することができる。
平均課税制度とは、その年に生じた突出した高額所得について、通常の累進税率をそのまま適用するのではなく、所得水準を平準化した形で税額を計算する制度である。これにより、一過性の収入に対して過度な税負担が生じることを防ぐ効果がある。
この制度は確定申告時に納税者自らが選択して適用する必要があり、億単位の取引が発生するマグロ漁師にとっては、手元に残る現金を大きく左右する極めて重要な制度といえる。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
\1月20日(火)11:00配信/
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