(※写真はイメージです/PIXTA)

物価高や無職期間の長期化により、税や保険料の滞納が深刻化する中、「家族の誰かの滞納」がきっかけで、思いがけず自分名義の財産が差押え対象となるケースもあります。中でも誤解されやすいのが、国民健康保険料(国保)の徴収です。国保では、加入者本人ではなく、住民票上の「世帯主」が納付義務者とされる仕組み(いわゆる擬制世帯主)があり、世帯主が国保に加入していない場合でも、家族の滞納により世帯主名義の財産が差押え対象となることがあります。総務省『地方税の徴収状況等に関する調査(令和5年度)』でも、地方税全体の滞納額は依然として高水準にあり、分納や相談が行われない場合には、差押えなどの滞納処分に進むケースがあることが示されています。

「なんで俺の口座が…?」父を襲った“差押え通知”

東京都郊外で暮らす佐々木勝さん(仮名・83歳)。年金月17万円でつましく生活し、趣味の将棋と散歩が日課。長男・健さん(仮名・56歳)と二人暮らしで、生活費の一部を父が補っていました。

 

ある日、勝さん宛に区役所から一通の封筒が届きました。差出人は「国民健康保険係 徴収担当」。

 

「財産差押え通知書」――通知文書には、明確に「預貯金を差し押さえた」と記されていました。

 

「えっ…? 俺、保険証なんてもう要らない年だろ…。なんで?」

 

困惑する勝さんに、健さんは顔をこわばらせながらこう言いました。

 

「……たぶん、俺のせいだ。“赤い封筒”ずっと放置してた」

 

健さんは5年前に職を失って以降、ずっと無職。会社の健康保険を失い、国民健康保険への切替が必要でしたが、手続きも保険料の支払いも放置していました。

 

「毎月の納付書が赤くなってきて、“ヤバそうだな”と思いながら、開けずに引き出しに突っ込んでいました。まさか、父の口座がやられるなんて…」

 

ここで重要なのが、「国保の納付義務は“世帯主”にある」という点です。健さんは“国保加入者”でしたが、住民票上の世帯主は父・勝さんだったため、父が“非加入者”でも徴収義務者とされてしまったのです。

 

国民健康保険法(第77条など)では、滞納が続いた場合、督促状の送付を経て「滞納処分(差押え)」が実施されます。

 

国民健康保険制度では、保険料(または保険税)の納付義務者は原則として「世帯主」とされています。そのため、実際の加入者が別の家族であっても、住民票上の世帯主名義の財産が差押え対象となることがあります。

 

実際、佐々木さんのケースでは、健さんが未納状態を放置したことで、父・勝さん名義の銀行口座が区役所の差押え対象となりました。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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