「やっと“社会の入口”に立てた気がします」
「親戚に『働け』と言われても、何をすればいいかも分からなかった。履歴書の書き方すら分からないし、面接に着ていくスーツもなかった」
健二さんは、亡き母の後を追うように、孤独と貧困のなかで数週間を過ごしました。頼れる友人もなく、役所に通う以外は、1日中テレビを見るだけの生活。スマートフォン代も払えず、電源が入らなくなったことで、連絡手段も絶たれました。
「家にモノはあったけど、“生活”なんてものは、してなかったんだと思います。冷蔵庫にはいつも母が何か入れてくれていたし、自分で動かないから、空っぽになった途端に終わった」
その後、健二さんは就労支援プログラム受講を決めました。
「情けないですけど、53歳でやっと“社会の入口”に立てた気がします」
近年、政府は「8050問題」や「中高年ひきこもり問題」への対策を進めており、地域包括支援センターや自治体福祉課などを通じたアプローチが広がっています。
親の年金や財産に頼りきった生活の“終わり”は、往々にして突然やってきます。そして、それは本人の準備不足や社会との断絶によって、より深刻な“崩壊”へとつながってしまうのです。
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