「今年の正月は、行きたくない」
「え? なんで…お年玉ももらえるのに?」
昨年12月中旬の夜、都内に住む会社員・山本咲子さん(仮名・40歳)は、息子・航くん(仮名・小学4年生)の突然の言葉に戸惑いを隠せませんでした。
夫の実家――つまり航くんにとっての“父方の祖母宅”には、毎年お正月に帰省してきました。関東近郊の一戸建てで、祖母は料理上手。おせちやご馳走を振る舞ってくれ、お年玉も用意してくれる…そんな、いわゆる“孫溺愛”の典型のような存在でした。
にもかかわらず、航くんははっきりと「行きたくない」と言い出したのです。
「理由を聞いても最初はモジモジしていて。でも最終的にポツリと、『ママも本当は、行きたくないんでしょ?』って…」
ドキリとした咲子さんは、言葉に詰まりました。
咲子さんは正社員として働きながら家事育児をこなしており、普段から多忙な日々を送っています。義母は家事に厳しく、「咲子さんは家のことをちゃんとしてる?」「共働きでも、やっぱり女の人がちゃんとしなきゃね」などと“悪気なく”口にするタイプでした。
「私は何とかやり過ごしてきたつもりでしたが…、息子は全部見ていたんですね。義母と私の会話、父親が何もフォローしない様子、微妙な空気。『ママの顔がこわくなるから、僕もイヤなんだ』って…」
さらに航くんは、「ちゃんと正座して」「勉強してるの?」「中学受験頑張らないといけないからね」と言った“干渉”も苦痛だったと話しました。
“家族だから仲良くすべき”という無言の前提は、時に子どもの心に見えないプレッシャーを与えます。とりわけ親族との集まりの場では、価値観の違いが顕著に現れ、子どもなりに居心地の悪さを感じ取っていることもあるのです。
