「なんて馬鹿なことを……」後悔に項垂れるワケ
息子夫婦が離婚したのです。原因は息子の浮気。孫は、母親であるお嫁さんのもとへ行き、それ以来、啓子さんの家に来ることはなくなりました。
その結果、啓子さん夫婦の「孫出費」はなくなり、気疲れもしません。静かな日常が戻りました。しかし、啓子さんは激しく後悔をしたのです。
「来なくていいなんて、なんて馬鹿なことを思っていたのでしょう」
孫の成長する姿を、もう間近で見ることはできません。「おばあちゃん」と呼んでくれる唯一の存在を失ったのです。別れたお嫁さんにお願いすれば叶えてくれたかもしれませんが、離婚原因を考えると「とてもじゃないが会わせる顔がない」と肩を落とします。
「何事もなくても、孫が『おばあちゃん』『おじいちゃん』と言って家に来てくれる時間は、それほど長くなかったはず。成長すれば距離が生まれていきますよね。それなのに、来なくていいだなんて。神様が聞いていたのではないかと……」
老後は、自分たちの生活を守ることが何よりも大切です。それは間違いありません。けれど同時に、失ってから初めて気づく関係があるのも事実です。
無理をして理想のおばあちゃんになる必要はありません。ただ、「いつでもある」と思っているものほど、実はあっけなく終わってしまうことがある――。そのことを、ほんの少しだけでも頭の片隅に置いておけばよかった。啓子さんは、今、そう感じています。
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