年金月21万円、74歳女性「今月もまた来るのか」
佐藤啓子さん(仮名・74歳)は、同い年の夫と二人で暮らしています。夫婦の年金収入は、合わせて月21万円ほどです。貯蓄は1,500万円あまり。すぐに生活に困るわけでもありませんが、啓子さんは日々の支出に気を配り、慎ましく暮らしてきました。
ひとり息子は30代で結婚し、子どもが生まれました。初孫の誕生は啓子さんにとっても夫にとっても、心から喜ばしい出来事。「いつでも来てね」とお嫁さんにも伝えていました。2年後には第2子も誕生。一駅隣りのマンションから、夫婦、時にはお嫁さんだけが毎月のように孫たちを連れてきてくれました。
ところが、年月を重ねるにつれ、その出迎えに徐々に負担を感じるようになっていきました。食事の用意や孫の遊び相手、帰ったあとの疲労感。さらに、誕生日や行事ごとの出費も、じわじわと家計に響きます。
「老後のお金は、そんなに余裕があるわけではないのに」
そう思うたび、胸の奥に小さな苛立ちが積み重なっていきました。そして、いつしか啓子さんは、心の中で思うようになっていたのです。
ああ、めんどくさい。来なければ楽なのに――と。そして、息子一家が家に来ようとすると、「その日は病院なの」「ちょっと体調が悪くてね」と、遠ざけるように。来訪の数は確実に減っていきました。
しかし、「来なければいい」という願いは、思いがけず完全な形で叶うことになったのです。
