「ボーイング6機購入」で加速するアメリカ移民政策…中古旅客機導入と二重国籍禁止法案が波紋――不法移民送還を国家主導で強化、旅行者監視も拡大【国際税理士が解説】

「ボーイング6機購入」で加速するアメリカ移民政策…中古旅客機導入と二重国籍禁止法案が波紋――不法移民送還を国家主導で強化、旅行者監視も拡大【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

アメリカ国土安全保障省(DHS)は12月10日、不法移民の国外追放を効率化するため、中古のボーイング737型旅客機6機を購入する契約を結んだと発表しました。これは、これまで民間のチャーター機に依存していた送還業務を、自前で行えるようにする狙いがあるとみられます。かつて「自由で開かれた国」として知られていたアメリカですが、いまや大きな方向転換を進めていることが浮き彫りになっています。

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上院議員、二重国籍を禁じる「排他市民権法案」提出

12月1日には、上院議員のバーニー・モレノ氏が「排他市民権法(Exclusive Citizenship Act of 2025)」が提出しました。

 

この法案は、アメリカと他国との二重国籍を禁止するもので、成立から120日後に施行される予定です。二重国籍者は1年以内にいずれかの国籍を選択しなければならず、期限を過ぎても選択しない場合にはアメリカ国籍を自動的に失うとしています。

 

モレノ議員自身はコロンビア出身で、18歳のときにアメリカ市民権を取得し、同時にコロンビア国籍を放棄した経歴を持っています。

 

一方で、この法案については「憲法修正第14条」との整合性を疑問視する声が強く、過去の最高裁判決では「市民権の喪失は本人の意思による放棄以外は無効」とされてきました。そのため、仮に成立した場合には法廷闘争に発展する可能性が高いとみられています。

 

◆先住民族にも影響懸念…「インディアン部族」の主権はどうなる?

また、この法案が施行された場合、アメリカ先住民(ネイティブアメリカン)の部族主権にどのような影響が及ぶのかも懸念されています。

 

先住部族は歴史的に「部族としての統治権」を認められており、ある意味ではアメリカとの二重の市民権状態にあります。法案はこの立場を侵す可能性があるとして、多くの部族関係者が警戒感を示しています。

 

◆「移民の国」から「排除の国」へ

モレノ法案や最近の移民政策をめぐる一連の動きから、アメリカは「移民の国」という建国の理念から大きく方向転換していることが浮き彫りになっています。国内でも「学校で教わったアメリカとは違う」と戸惑う国民が増えており、同盟国である日本やEU諸国も、この変化を慎重に見守っています。

 

移民政策にとどまらず、他の分野でも保護主義的な傾向が強まるなか、「これからどのようにアメリカと向き合うべきか」が問われる時代になっています。

 

 

奥村 眞吾

税理士法人奥村会計事務所

代表

 

 

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