今回は、イギリスのEU離脱決定によって世界各国が受けた影響を見ていきます。※本連載は、評論家・作家として活躍する宮崎正弘氏の著書、『世界大乱で連鎖崩壊する中国 日米に迫る激変』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、「世界大乱」とも言うべき状況のなか、国際社会の行方を占います。

ヨーロッパ各国で起きた「株価暴落」

2016年7月13日には、与党保守党のテリーザ・メイが首相に就任。そしてジョンソンを外相に起用した。このニュースを衝撃的に受けとめたのは中国だった。

 

「南華早報」(2016年7月16日付)が掲載した風刺漫画は、次のようなものだった。化け物のような姿のジョンソンが「外務省」の看板をバックにした画像、それに見入る紅衛兵OBの老㆟らが「外交政策は悪くなるんじゃないか」とつぶやく構図。つまり親中派のオズボーン財務相が去り、数々の暴言で知られるジョンソンの登板となると、イギリスは反中路線に傾くのではないかという不安である。

 

グローバリズムに立脚するのが国際市場だから、世界では肝心のイギリスより、ほかの国々の株価が悪影響を受けた。

 

ドイツで6.8%下落、フランスで8%、スペイン12.4%、イタリア12.5%と惨憺たる株価暴落が起きた。震源地のイギリスは3.2%の下落だったから、ヨーロッパ全体のほうが衝撃が大きかったことを物語る。

 

残留派の勝利を予想したことで、対策が遅れた日本

だが、ブレグジットにいちばんうろたえたのは日本ではなかったか。ブレグジットが決定した6月24日の日経平均株価は7.9%もの下落だった一方で、上海総合株価指数は1.3%の下落、香港ハンセンが2.9%下落。本来ならいちばんの悪影響が出るのは中国であるはずなのに、いかに日本の投資家らが心理パニックに弱いかということでもある。

 

アメリカ大統領予備選のスーパーチューズデー(2016年3月1日)の結果を見るまで日本政府・外務省はトランプの動向を無視していた。よもやトランプのような「道化師」、泡沫候補の主張がアメリカ人に受け入れられることはないとタカを括っていた。ましてトランプはTPP反対の立場だから、オバマ政権と共同歩調をとってTPP推進で動いていた日本の方針に邪魔になる。

 

EU離脱についても、外務省は「残留派」が辛勝すると安倍晋三首相に報告していた。どうやら日本政府・外務省には情報収集能力に大きな、致命的な欠陥があるようだ。

 

だから対応が遅れ、有効な対策がとれなかった。あれよあれよという間に円高が進み、輸出関連株ならびに銀行株が下落を続けた。ようやく3週間後にニューヨーク株は史上最高値をつけ、日本もブレグジット前の株価を回復させ、円高は止まった。

世界大乱で連鎖崩壊する中国 日米に迫る激変

世界大乱で連鎖崩壊する中国 日米に迫る激変

宮崎 正弘

徳間書店

英国のEU離脱決定で中国は瓦解する! 親中派のキャメロン首相は辞任、メイ首相誕生で対中政策は大転換。欧州の反中意識はドミノ倒しのように広がり、中国の欧州投資、AIIB、人民元の国際化も次々と破綻する。国際裁判所で南シ…

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