「1人500万円ずつ」ではない…「非課税枠」の本当の使われ方
生命保険の死亡保険金は、相続税法上「みなし相続財産」として相続税の課税対象となる。一方で、遺族の生活保障への配慮から、一定額までは相続税がかからない仕組みが設けられている。非課税となる限度額は、相続税法12条に基づき「500万円に法定相続人の数を乗じた金額」と定められている。
たとえば、法定相続人が妻1人、子2人の計3人であれば、非課税枠の合計は1,500万円となる。このため、「相続人それぞれが500万円ずつ非課税になる」と理解されることが多いが、実際の取扱いはそれほど単純ではない。
相続税の実務上、この非課税枠は相続人ごとに一律で割り当てられるものではなく、各相続人が取得した保険金額の割合に応じて按分するとされている。つまり、誰がどれだけの死亡保険金を受け取ったかによって、実際に使える非課税枠の金額は変わる。
取得割合で按分するとどうなるのか――具体例で検証
具体例で見てみよう。
法定相続人が妻と子2人の計3人、死亡保険金の総額が2,000万円の場合、非課税枠は1,500万円となる。仮に妻が1,000万円、子ども2人がそれぞれ500万円ずつ受け取った場合、妻の取得割合は全体の50%となる。このため、妻が使える非課税枠は1,500万円の50%に当たる750万円にとどまり、受け取った1,000万円のうち250万円が相続税の課税対象となる。
同様に、子ども1人あたりの取得割合は25%となり、使える非課税枠は375万円ずつとなる。その結果、子ども1人につき125万円が課税対象となる。
受取人の設定次第で非課税枠が「使えない」ことも
もっとも、配偶者が受け取った課税対象額については、「配偶者の税額軽減」により、実際の相続税負担が生じないケースも少なくない。ただし、生命保険の非課税枠を配偶者1人で使い切ってしまうと、子どもが十分に非課税枠を活用できず、将来の二次相続で税負担が重くなる可能性がある点には注意が必要だ。
一方で、子どもだけを死亡保険金の受取人にした場合にも落とし穴がある。配偶者が法定相続人であっても、保険金を取得しなければ非課税枠を使うことができないため、制度上のメリットを十分に活かせない結果となることがある。
税理士などの実務家によると、こうした非課税枠の按分ルールが十分に理解されておらず、相続税の申告段階になって初めて課税が生じることに驚く遺族も少なくないという。
また、生命保険の役割は節税にとどまらない。相続税の申告・納付期限は相続開始から10ヵ月と短く、不動産の割合が高い家庭では、納税資金の確保が大きな課題となる。死亡保険金は受取人に直接、現金で支払われるため、納税資金としての即効性が高い点も改めて評価されている。
「加入時の思い込み」に注意、定期的な見直しが不可欠
相続税の課税対象者が増える中、生命保険を活用した相続対策への関心は今後も高まりそうだ。ただし、相続に詳しい税理士によると「加入時のイメージだけで安心せず、家族構成や資産状況の変化に応じて、制度の仕組みを正しく理解したうえで定期的に見直すことが重要だ」という。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
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