数十万ドル規模に膨らむ副賞
アカデミー賞の公式な賞品はオスカー像のみ。しかし長年にわたり、主催団体とは別に企画された非公式のギフトバッグが配布されてきた。マーケティング会社によるプロモーションの一環で、主演・助演部門などのノミネート者に贈られるのが通例だ。
過去の事例では、ギフト総額が数十万ドル規模に達した年もある。高級リゾート滞在、豪華クルーズ体験、美容医療サービス、ラグジュアリーブランド商品などが含まれ、その内容は毎年メディアをにぎわせてきた。
なかには数万ドル相当の探検型クルーズが目玉となった年もあり、ラグジュアリーヨットによる航海体験や専属サービス付きの旅行プランが話題を呼んだ。2026年も同様の高額体験型ギフトが含まれるかどうかに注目が集まる。
ギフトは原則として「課税対象」
華やかな副賞だが、米国ではこうしたギフトは原則として課税対象となる可能性が高い。
米税法では、現金に限らず、納税者が支配・処分可能な経済的利益を得た場合、その市場価値相当額が所得として扱われる。賞金や副賞、無償で提供される旅行やサービスも、評価額が合理的に算定できる場合は課税所得に含まれる。
実務上、提供企業が受領者に対して評価額を記載した税務書類(一般にForm 1099-MISCなど)を発行し、税務当局にも報告するケースが多い。これにより、受領者側には申告義務が生じる。
仮に総額が20万ドル規模であれば、適用税率次第では数万ドル単位の税負担が発生する可能性がある。高額ギフトは“無償”に見えても、実際には税金という形で現金支出を伴う場合がある。
なお、実際に受領しておらず、自由に処分できる状態にもなっていない場合は課税対象とならないのが一般的だ。ただし、具体的な取り扱いは事実関係によって異なり、いわゆる「みなし受領(constructive receipt)」の概念が問題となる場合もある。
また、いったん受領した後に慈善団体へ寄付した場合は、まず所得として計上し、その上で寄附金控除の適用を検討することになる。
日本人ノミネート者がギフトを受け取ると、税務はさらに複雑化
日本人俳優や映画関係者がノミネートされ、ギフトを受け取った場合、税務上はさらに検討事項が増える。
米国内で提供される副賞が米国源泉所得に該当するかどうかは、その性質や提供形態、芸能活動との関連性など個別事情によって判断される。非居住者であっても、一定の場合には米国での課税や源泉徴収の対象となる可能性がある。
一方、日本に居住している場合、日本の税法上は原則として全世界所得課税の対象となる。そのため、海外で受け取った副賞も日本で課税対象となる可能性がある。
日本での所得区分は一律ではなく、活動との関連性によって一時所得、雑所得、あるいは事業所得として扱われる可能性がある。さらに、米国で課税された場合には、一定の要件のもとで外国税額控除の適用が検討される。
評価額の算定や所得区分の判断は実務上容易ではなく、国際的に活動する俳優や制作者にとっては、日米双方の税制を踏まえた専門的な対応が不可欠となる。
栄誉の裏にある経済と税務
アカデミー賞は、作品や俳優を評価する場であると同時に、巨大な経済イベントでもある。受賞による興行収入の増加、配信視聴数の伸び、広告効果など、その波及効果は多方面に及ぶ。
豪華ギフトもまた、その経済圏の一部だ。レッドカーペットの華やかさの裏には、マーケティング戦略と複雑な税務ルールが存在する。
THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班
\3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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