築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
相続対策のはずがなぜ…Aさんの相続税が高額になったワケ
Aさんの父親は相続対策としてローンを組んでアパートを取得しましたが、なぜ想定より相続税額が大きくなってしまったのでしょうか。それは、アパートを取得後から相続発生までの期間に、継続的な財産の管理をできていなかったためです。
相続税の税額が大きくなったポイントは、下記のとおりです。
1. 相続発生時までにローンの返済が進んでいる
まず、ローンを組んでアパートを保有している場合、相続税の計算がどのように行われるかを理解する必要があります。
アパートは、相続財産として土地と家屋を財産評価基本通達に基づいて評価されます。財産評価基本通達とは、相続や贈与で取得した財産の評価方法を国税庁が示したものです。たいていの場合は、時価よりも小さい金額で評価されることになりますし、一定の要件を満たす場合、小規模宅地等の特例措置を適用でき、評価額を小さくできる可能性もあります。
一方で、借入金は、債務として相続財産から控除される金額となります。アパートを取得して数年程度の期間であれば、借入金の残額が大きいので、債務として控除される金額が大きいですが、返済が進めば進むほど、債務として控除される金額は小さくなります。
Aさんの父親の場合は、20年が経過していることから、借入金はかなり小さくなってしまっており、債務として控除される金額は少額になったのです。
2. アパートの経営が順調で手許のキャッシュが潤沢
借入金の返済を行えば債務として控除される金額が減りますが、それと同時に財産も減少するため、相続財産の額に影響はありません。
しかし、Aさんのケースでは、不動産の運用に成功し、家屋の価値の減少額と返済する債務の額以上のキャッシュを稼いでいます。当然ですが、この場合は財産の額が大きくなります。Aさんは、継続的に財産の状況や相続税の試算を行っていなかったため、Aさんの父親の財産が少しずつ増えていたことに気づけませんでした。
3. 生家を売却してキャッシュで保有している
自宅は、アパートと同様で、土地と家屋として財産評価基本通達に基づいて評価されます。この場合、通常は時価よりも小さい金額で評価されることになります。同じ時価であれば、現金として保有するよりも不動産として保有しているほうが、相続財産の額が小さくなる可能性が高いのです。したがって、生家を売却して現金化したことで、結果的に相続財産が大きくなってしまった可能性があります。
このように、Aさんの父親の財産が全体でいくらなのか、どのようなバランスで保有・運用するかということについて継続的に検討していなかったことが、思わぬ相続税額が生じる原因になったと考えられます。

