高齢者支援と“名もなき労働”
近年では、高齢者の孤立や8050問題、生活困窮などの社会課題が多様化・複雑化しており、民生委員の役割も拡大しています。一方で、個人の善意に依存した制度であるがゆえに、活動の過酷さや後継者不足も課題となっています。
和也さんはこう語ります。
「母は、自分のことは多く語らない人でした。でも、こういう形で“生き方”を知ることになるとは思わなかった。母にとっては、家庭だけが全てじゃなかったんだと、今になって分かりました」
家族にとって、通帳や土地、財産といった「目に見える遺産」だけが相続のすべてではありません。その人がどんな人生を送り、何を大切にしてきたのかという“記憶の遺産”もまた、次世代に受け継がれるべきものかもしれません。
手に取った白い封筒は、単なる紙の束ではなく、50年近く家族を支えてきた母の「知られざるもう一つの顔」を映し出す、静かな証言だったのです。
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