(※写真はイメージです/PIXTA)

地政学リスクが高まるなか、安全資産といわれる「金」の密輸が急増しています。その背景には、日本の「消費税制度」が関係していると、税理士である奥村眞吾氏は指摘します。2017年には日本政府も罰則強化を行うなど対策をとっているものの、密輸は依然として後を絶たないのが現状です。密輸急増の現状とその背景について、本記事でくわしくみていきましょう。

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2017年には「罰則強化」も、依然残る“根本問題”

近年は、暴力団関係者や犯罪組織のみならず一般人や主婦まで金密輸に関与する例がみられます。

 

こうした状況が社会問題化したことを受けて、政府は平成29(2017)年に罰金額を大幅に引き上げる改正を行いました。改正後は、「脱税額の10倍が1,000万円を超える場合には、脱税額の10倍まで罰金が科される」という厳しいペナルティが設けられています。

 

たとえば、1億円相当の金を密輸した場合、輸入時に課される消費税等(10%)を免れることで得られる脱税額は1,000万円前後になります。算定方式によっては異なる場合もありますが、仮に脱税額を800万円とすると、最高で8,000万円の罰金が科される可能性があります。税関当局は、これが強い抑止力になると見ています。

 

しかし、輸入申告件数が増加する一方で、税関職員の増員が十分に進んでおらず、ペナルティの強化だけで密輸をどこまで抑止できるのかについては疑問が残ります。

 

アメリカがメキシコ国境で密輸・密入国対策に苦慮しているように、取り締まり強化が必ずしも十分な成果につながらない可能性も指摘されています。

 

 

奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表

 

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