今回は、有料老人ホームへの入居で必要となる費用の概算をお伝えします。※本連載は、介護施設の専門家である齋藤直路氏の著書『はじめてでもわかる!介護施設&老人ホームのさがし方・選び方』(サンライズパブリッシング)の中から一部を抜粋し、住む介護施設の特徴や選ぶ際のポイントを紹介します。

入居時に用意するお金(入居一時金)

問:有料老人ホームはどんな費用がどれくらいの金額かかるの?

 

答:入居一時金と月々に払うお金が必要です。金額は施設ごとに大きく違います。

 

入居一時金とはその名の通り有料老人ホームに入る際に払うお金で、「入居保証金」、「前払い金」などと呼ばれることもあります。

 

最近では入居一時金の額も下がってきていますが、1億円を超える施設も存在しますので、その額はとても幅が広いと言えます。

 

入居一時金が不要な施設では、その分毎月払うお金が高くなる傾向にあります。一見すると入居一時金が安いほうがよさそうですが、じつは長く生活すると多めに払ったほうがトータルで払うお金が安くなることもあり得ます。年齢によって入居一時金の金額が変わる施設もあります。

入居後に月々かかるお金

毎月かかる費用の内訳は、居室利用料、介護費、食費、管理費、水道高熱費、サービス費、消耗品費などです。さらにイベントがあるときは、その都度お金を払う必要があります。

 

介護費は介護保険を利用して1割から2割の費用で済みますが、定められた以上のサービスを利用するとオプション料金が追加されます。

 

管理費には共用施設等の維持管理費のほか、事務管理部門の人件費、生活支援サービス提供のための人件費等が含まれているため、一般のマンションより割高です。

入居一時金が安いからといって得とは限らない

<費用の試算>

入居一時金と月々の費用を合わせ、5年ないし10年間の費用を出した上で検討する必要があります。

 

例えば、入居金が700万円、月々かかる費用が5万円の施設をAとします。入居金が70万円で月々の費用が15万円の施設をBとします。

 

入居金の多寡による違い

●5年間入居する場合

施設A:700万円+5万円×60ヶ月=1000万円

施設B:70万円+15万円×60ヶ月=970万円

→Bのほうが安い。

 

●10年間入居する場合

施設A:700万円+5万円×120ヶ月=1300万円

施設B:70万円+15万円×120ヶ月=1870万円

→Aのほうがかなり安くなります。

 

また短期間で退所することになった場合でも、初期償却費が発生して予想よりも入居一時金が返却されない施設もあります。契約時に規約を確認する必要があります。

入居一時金の償却とは?

有料老人ホームの入居一時金には、資産を使うという意味で償却期間が定められています。

 

償却期間が終了する前に退去された場合、未償却部分が返還されるようになっています。償却期間や償却方法は有料老人ホームによって様々です。2割~3割を初期償却として入居時に(クーリングオフ制度があるため91日目)償却する有料老人ホームが多いです。

入居一時金(前払金)はクーリングオフが可能

現在の法律(老人福祉法)では、入居後の90日以内の退去であれば入居一時金(前払金)は、大半が戻ってくるようになります。

 

万が一、施設に入って馴染めなかったときでも無駄にならないようになっています。高額な入居一時金を払う保障はついているといえます。3ヶ月を過ぎると戻ってくるお金が減るため、老人ホームを替えるという決断はこの間にしましょう。

定番必携 はじめてでもわかる! 介護施設&老人ホームのさがし方・選び方

定番必携 はじめてでもわかる! 介護施設&老人ホームのさがし方・選び方

齋藤 直路

サンライズパブリッシング

介護に関するよくある間違い、施設選びのチェックポイント、老人ホームの種類と注意点。誰もが初めに抱く不安を一掃! プロが教える介護と老後のための新・定番読本!

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