独身の叔父の死、相続財産を「いとこ8人で共有」した結果…
【相談内容】
10年前に独身の叔父が亡くなりました。私の父親を含む叔父のきょうだいはすでに全員亡くなっているため、私を含む8名の甥姪(相談者目線ではいとこ)で遺産分割を行いました。叔父は区分建物などの収益不動産を複数のエリアに保有しており、物件によって価値も収益性もまちまちでした。そのため、誰がどの不動産を取得するかを決めることが、大変むずかしかったのです。
私たちいとこ同士はいずれも関係が良好だったため、全員で話し合い、法定相続分に従って平等に相続財産を分けることで着地しました。
しかし、当初は問題がなかったこの方法も、年数が経過した今、2つの問題が発生しています。
1つは、不動産の今後に対する意見の相違です。いとこの1人は「子どもの医学部進学が決まり、高額な学費が必要になることから、共有名義の不動産を売却して現金化したい」と希望しています。しかし、売却を提案された不動産は収益性が高く、ほかのいとこたちは難色を示しています。
もう1つは、最年長のいとこの健康状態です。持病が悪化しているほか、物忘れなども目立ってきました。万一認知症になれば、不動産にまつわる手続きができなくなると聞いたことがあり、今後、共有名義の不動産への対応に不利益が出るのではと懸念しています。
(横浜市・60代会社員)
安易な「共有登記」が引き起こす大問題
安易に不動産を共有登記した結果、あとから問題が浮上するケースは少なくありません。共有登記は、登記簿上では確かに平等に見えますが、将来的なリスクは少なくないのです。
まず、不動産を共有にすると、個々の持分を個別に売却・処分することが難しくなります。現実的には、不動産を共有にすることで、逆に価値を棄損してしまうケースもあるのです。
特にきょうだいやいとこと安易に不動産を共有することで、世代が代わるごとにネズミ算式に相続人が増え、一層収拾がつかなくなることも考えられます。
問題を解消する方法として、多くのケースで売却しか選択肢がないという点を考えても、安易な不動産の共有登記は回避すべきでしょう。
司法書士である筆者の観点から申し上げると、遺産分割によって一度でも不動産の登記を入れてしまうと、その後、共有の持分の移動や更正登記といった登記のやり直しに対し、登録免許税などの税金や、手続きを行う司法書士への報酬が必要になります。
また税務上、一度登記を経た遺産分割のやり直しは「新たな財産権の移転」とみなされることが少なくなく、課税されるケースもあります。
