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経営トラブルと「180日縛り」…注意すべきポイントとは
(2)民泊経営のトラブル
民泊経営の課題、二点目は民泊経営上のトラブルやコスト面での問題点です。
- 近隣住民からのクレーム
- アルバイトスタッフの人件費高騰
- クレジットカードの不正利用
- 設置物の盗難リスク
- Airbnb以外の募集サイトは保証なし
- 疫病発生の場合、需給バランス悪化
- 行政による旅館業規制強化
まず近隣住民からのクレームですが、これがまさしく「民泊新法」ができるきっかけともなった点です。ゲストが夜間に起こす騒音被害で近隣住民が警察に通報、騒ぎとなるケースがあります。またゴミに関してもクレームに発生しやすいでしょう。
次は民泊ビジネスに限りませんが、いわゆるエッセンシャルワーカー不足による人件費高騰です。特に清掃スタッフの確保が困難で、時給ベースで30%アップ(1500円→2000円)などの手立てが必要となります。
三つ目のクレジットカードの不正利用や四つ目の盗難リスクは、ホテル・旅館では以前から問題になっていました。
第三者に成りすましてクレジットカードを不正使用し、本人からの申請で取り消し(チャージバック)された場合、ホスト(オーナー)側の負担となり、現状では、この被害に対する引受保険会社は存在しません。また部屋に設置しているリネン類、WIFIルーターの盗難、設備破損などの被害に遭うこともあります。
Airbnb以外の予約(募集)サイトでは、宿泊客によるトラブルに対する保証がないという点は問題です。物損事故などがあっても、言わば「逃げ得」となるので、事前のパスポートコピーおよび免許証などの身分証明書確認・入手、問題が起きた際の警察対応も重要です。
盗難、設備破損の求償は予想以上に時間と労力が掛かるので、この点からも、プロの運営代行会社にお任せするようにしましょう。
疫病発生(パンデミック)では、コロナ禍の事例が参考になります。時間貸しや通常賃貸に移行せざるを得ませんでした。といいますか、業態を変更しないと売上が出ないという苦肉の策ですね。
最後が、行政による旅館業規制強化への対応です。例えば京都市における帳場(フロント)に関する施設外帳場の必須設置やバリアフリー設備の必須設置に関する規制などが挙げられます。社会情勢に応じて変更されるので、注意しておく必要があります。
(3)「180日縛り」
民泊運営の課題、最後は「180日縛り」です。これは「民泊新法」の規定で、旅館業の許可を得ていない(届け出のみ)民泊事業者は、宿泊料を取って人を宿泊させられる日数は180日を超えない、というものです。「民泊新法」の立法化の際に話題となりました。宿泊施設を1年のうち半分以上営業できないわけで、それに対する施策をどうするのかという視点です。
これに対する明確な解決法は、業法による規制なので、はっきり言ってありません。ただ、様々な宿泊スタイルと「併用」することで、ある程度の効率化を図れます。
具体的には、次の方法があります。
- マンスリーマンション貸しとの併用
- 時間貸しとの併用
