寂しい食卓と、埋まらない距離
「今日は魚の切り身と、缶詰の野菜で済ませました。食費を抑えるのは慣れましたけど、食卓が寂しいんですよね。子どもがいれば、何か話すこともあるのに」
敬一さんはそう言って微笑みますが、その目はどこか遠くを見ていました。
夫婦での暮らしは静かですが、直人さんとの“溝”が埋まることはないまま。どこで何をしているのかも分からず、連絡も絶えたままだといいます。
老後の暮らしを語る上で、「住まい」「お金」「健康」はもちろん重要な要素ですが、もう一つ忘れてはならないのが“人とのつながり”です。中でも、家族との関係性は、想定通りにいかないこともあります。
「人生設計って、全部が思い通りにいくわけじゃない。息子のことも含めて、それが現実だと思うしかありません」と敬一さん。
老後を誰と、どう過ごすか。それを考えるとき、“子どもとの良好な関係”を前提としない選択肢も、現代では必要なのかもしれません。
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