(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資をする際に物件選びは、当然ながら重要になります。ただ、一口に“いい物件”といっても、都市部や地方などのエリアによってその基準は異なります。では地方戸建て物件に投資する場合、どのような条件で選定すればよいのでしょうか。本記事では、宮崎俊樹氏の著書『空き家は使える!戸建て賃貸テッパン投資法 2ndエディション』(技術評論社)より、地方戸建て投資家が購入したほうがいい物件、そうではない物件の判断方法について紹介します。

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オーナーチェンジ物件はラクチンな分、注意点もある

物件検索しているとオーナーチェンジ物件も見つかります。アパートなどはもともと投資用の物件ですからオーナーチェンジが当たり前なのですが、戸建ての場合はオーナーチェンジ物件は少数派です。

戸建て賃貸では、空き家物件を購入してリフォームしたうえで客付けすることが基本になりますが、そのプロセスには当然、手間と費用がかかります。オーナーチェンジならそれを省くことができます。そこにはもう入居者さんが住んでいるのですから当たり前ですね。購入後すぐに賃料収入が発生しますし、いいことずくめのようですが、残念ながらそういうわけにはいきません。

まずオーナーチェンジ物件は内見ができません。室内の状況を確認できないので、思わぬ瑕疵が潜んでいる可能性があります。もちろんそんなことにはならないように、購入前に売主や仲介業者からヒアリングしますが、それで完璧に防ぐことなんてできません。もう1つの注意点は、いま住んでいる入居者が退去したときです。

購入時に内見していないので内装リフォームにかかる費用が未知数。そして購入時にリフォームしていない以上、退去時にリフォームコストがかさむことを覚悟しないといけません。「オーナーチェンジなら初期コストを抑えられるから、少しばかり割高で買ってもいいか」と考えるのはやめたほうがよいと申し上げておきます。

こんなオーナーチェンジ物件は買ってはいけない

最初に手を出す物件としてオーナーチェンジは向いていますが、オーナーチェンジ物件にはメリットばかりではなくデメリットもあります。そして、このところ要警戒のオーナーチェンジ物件が増加傾向にあります。

それは、素人DIYで表面だけキレイに取り繕ったオーナーチェンジの戸建て物件です。ポータルサイトなどでぱっと見は何も問題がないように映るのですが、素人の浅い知識と技術で行われた修繕は建物の根本的な問題を解決しておらず、長期的に見ると問題が露見しやすい傾向にあります。

オーナーチェンジ物件は物件内部の状態を入居前の写真でしか見られませんが、怖いのは写真ではその判断が難しいこと。素人DIYは写真の見映えはよくても、実際に現地で見ると施工の悪さが目立つことが多々あります。

では素人DIYの物件かどうかどうやって見抜くのか。それには物件の保有期間を確認することです。素人DIY物件は長期保有すると問題が生じる可能性が高いため故意犯的に短期保有で売り抜けるケースが多くなります。

そんな手口に引っかからないよう、登記簿謄本を見て物件の保有期間をチェックしましょう。登記簿謄本(※2)は法務局で取得することができますし、仲介業者が持っていることが大半です。入手できたら「謄本 見方」でネット検索すればすぐに読めるようになります。 
 

※2 登記簿謄本

不動産の所有権や権利関係を公的に記録した書類で、法務局で管理されている。正式名称は「全部事項証明書」で、物件の現状を確認するために使用される。登記簿謄本には不動産の所有者、抵当権や地役権(自分の土地の利便性を高めるために、目的の範囲内で他人の土地を利用できる権利)などの権利関係、過去の売買履歴などが記載されている。物件購入時や融資を受ける際には登記簿謄本を閲覧して物件の権利関係に問題がないことを確認する


同じ理由で、入居後すぐに売りに出されている物件にも注意が必要です。なかには一見お得に見える物件もありますが、すぐに売却に出されるということは、背景に何らかの問題がある可能性があります。たとえば物件に隠れた欠陥がある、周辺環境に問題があるなどです。こうしたリスクを避けるために、可能であれば賃貸契約書を確認し、入居時の契約内容を把握するようにしてください。

事前調査をしっかりできれば思わぬトラブルを避けられますし、購入に向けて安心材料を増やすことができます。

激安物件はスピード勝負!ただしやみくもな買付はいけない

物件検索で「これはいいかも」という物件が見つかったら、すぐに問い合わせをしましょう。その物件がお宝物件であれば、ここからはスピード勝負です。メールで問い合わせるなんて悠長なことをやっている場合ではありません。すぐに業者に電話を入れて内見の予約をとってください。

業者の都合がつかず、すぐに内見に同行してもらえない場合には、筆者はとりあえず住所を聞いて外観だけでも確認しに行きます。そこで買付を入れて(※3)、後日内見させてもらうこともあります。
 

※3 買付を入れる

買付証明書を仲介業者宛てに送る、もしくは直接渡すこと。不動産を購入する意思を表明することをいう。買付証明書を業者の店舗で書いて直接担当者に渡す場合もあれば、内見後少し検討したあとにFAXで送る場合もある。買付証明書に法的な拘束力はないが、買付を入れて売買契約を結べば、そう簡単に契約解除することはできなくなる。

もし契約後に購入を破棄すれば契約違反によって違約金が発生する。違約金は売買代金の10~20%。売買契約前の買付の段階であれば取り消すことができると考えるのは非常に危険。その行為は仲介業者の信頼を裏切ることになるので、今後その仲介業者とのおつき合いは望めなくなる。買付を入れる際は、よほどのことがない限り間違いなく購入するというところまで気持ちを固めることが必要。


なぜなら、購入順序は満額の買付であれば買付を入れた順になるからです。もし後日の内見時に深刻な瑕疵が見つかるなどしたら買付を取り下げることもできます。買付時に出す買付証明書は契約書でも何でもありません。買付を破棄してもペナルティはありません。 ただし、初心者の方にはこの手法はおすすめしません。

筆者の場合、買付を入れるのは、特別な瑕疵などが見つからない限りほぼ間違いなく購入すると腹を決めているときです。買付を入れたのにそれをあっさりくつがえすような人は確実に業者から嫌われます。買付を破棄した人には二度と物件を紹介しないという業者もあります。

そういうわけで外観の確認だけで買付を入れることは初心者の方向けではありません。じつは、この外観だけを確認して買付を入れる方法は転売業者がよくやる手なのです。転売業者の動きはそれこそめちゃくちゃ速く、あっという間に物件を自分のものにしていきます。

以前こんなことがありました。朝方に物件検索していて格安物件を発見。おそらく前日の夜遅くにネットにアップされた物件なのでしょう。すかさず物元業者に連絡を入れ、内見のアポをとり、その日のうちに内見に向かいました。物件は格安のわりにピッカピカで、明らかに価格設定が間違っているようなお宝物件でした。

その場で即、「買います、すぐ買付を入れます」と申し出たところ、なんと前の晩のうちにFAXで買付が入っていたというではありませんか。それなら内見前にいってくれよと思いましたが、その物元業者はかなり年配の方が切り盛りしており、内見に向かう少し前のタイミングでFAXに気がついたそうなのです。

ということで、筆者は二番手。一番手が見送らない限り買えません。一番手の人は夜半のうちに物件の外観だけを確認して買付を入れたそうです。おそらく素人のなかでは筆者は最速の動きをしたと思います。そうなんです。この一番手は転売業者さん!

彼らはレインズという不動産業者だけが閲覧できるサイトで物件の住所を取得できます。それで物元と連絡がとれない夜間でも物件の外観を確認できたというわけです。安い物件はスピードが命ですが、素人が業者にスピードで勝つのはほぼ不可能です。筆者はこのとき一番手になった転売業者とこのあとも何回か競り合っているのですが、いままで一度も勝てたことがありません。

 

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※本連載は、宮崎俊樹氏の著書『空き家は使える!戸建て賃貸テッパン投資法 2ndエディション』(技術評論社)から一部を抜粋、編集したものです。

空き家は使える!戸建て賃貸テッパン投資法 2ndエディション

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宮崎 俊樹

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