「アベノミクス株高・円安」第1幕終了時との類似
ところで、今回日経平均の90日MAかい離率は、2013年5月22日に記録した水準まで拡大しました。この2013年5月22日は、第2次安倍政権の経済政策、「アベノミクス」をきっかけに拡大した株高・円安の第1幕が終了したタイミングでもあったのです。
2010年代前半から半ばにかけて、アベノミクスをきっかけにした株高・円安が2年以上も続くところとなりました。ただそんなアベノミクス株高も、2013年5月22日で第1幕が終了、いったん日経平均は2割程度と大きく下落に向かいました(図表5参照)。それは、これまで見てきたことからすると、短期的な「上がり過ぎ」の反動ということだったのでしょう。そして、そんなふうにアベノミクス株高が反落に転じると、株高に連動した円安、「アベノミクス円安」もいったん円高に転換するところとなりました。
さて、足下ではそんなアベノミクス株高・円安の第1幕が終了したとき以来の、日経平均の「上がり過ぎ」反動局面に入っている可能性がありそうです。高市総理がアベノミクスの継承を主張し、そのなかでアベノミクス株高・円安の再来のような展開が続いてきましたが、これまで見てきたことからすると、それは第1幕終了に差し掛かっている可能性もあるのではないでしょうか。
今週の注目点=米経済指標発表も再開の可能性
「アベノミクス相場」第1幕終了との類似なら円高へ回帰の可能性
アベノミクス株高は、2013年5月22日から、日経平均が「上がり過ぎ」の反動で約2割の反落に向かいました。すると、それに連れる形で、それまで株高と連動した円安も、円高へ大きく戻るところとなりました。
ちなみに、今回もそんなアベノミクス相場と同様に、日経平均が「上がり過ぎ」の反動で2割程度の比較的大幅な下落に向かうなら、4万2千円程度まで下落するといった見通しになります。そうなった場合、これまでの相関関係が続くなら、米ドル/円も147円程度まで米ドル安・円高に戻す見通しになります。
米ドル/円の予想レンジは152~155円
今週は、これまで述べてきたようにシャットダウン終了を受けて、9月雇用統計など米政府による米経済指標の発表も再開される見通しです。ただし当初は、シャットダウンが始まる前の経済指標になるので、結果に対して金融市場が素直に反応するかは微妙ではないでしょうか。
米国株の場合も、NYダウに対するナスダック指数の相対株価が、2000年のITバブル以上に割高拡大となるなど一部に異常な「上がり過ぎ」の兆候があります(図表6参照)。それが、シャットダウン終了といった本来的なプラス材料を好感できないことで行き過ぎを確認し修正が本格化に向かう可能性も注目したいと思います。
以上から、私はアベノミクス継承を主張した高市政権発足を前後して、まさにアベノミクス株高・円安に類似したここまでの動きは転換点を迎えている可能性があると考えています。それを踏まえ、今週の米ドル/円は152~155円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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