「法人化すれば節税になる」と信じていたのに…〈相続税1億円超〉都心一等地ビルを相続した50代男性が直面した想定外の落とし穴「私がバカでした」【相続の専門家が警告】

「法人化すれば節税になる」と信じていたのに…〈相続税1億円超〉都心一等地ビルを相続した50代男性が直面した想定外の落とし穴「私がバカでした」【相続の専門家が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都内の一等地にあるビルを相続した青木さん(50代男性)。親から受け継いだ大切な土地と建物を、家族で設立した法人に譲渡し、節税と資産運用を目的に運営してきました。しかし、築30年を超える建物の老朽化や、将来の相続・事業承継を見据えたとき、「このまま持ち続けるべきなのか」「売却して整理すべきなのか」という迷いを抱えるようになったと言います。さらには、法人化の過程で生じた“名義の分離”が、相続税の大きな負担につながる可能性も浮上。専門家の検証によって明らかになった問題点とは? そして青木さんが出した決断とは――。相続実務士・曽根惠子氏(株式会社夢相続 代表取締役)が解説します。

土地を売る? 活かす? 3つのシミュレーション

青木さんに3つのシナリオを提示しました。

1.現状維持

今のまま法人に貸し続ける。ただし節税効果はなく、将来の相続  税は約1億円超。地代の見直しをしないと税務上のリスクがある。
 

2.法人との関係を見直す

地代を適正額に改定し、借地権を設定する。ただし契約変更や税務処理が必要で、法人側の同意も不可欠。
 

3.土地・建物を売却して資産を組み替える

AI査定によると、土地建物の売却価格は約5億円。仮に売却後の税金や諸経費を差し引いても、約3億4,000万円が手元に残る試算です。

 

この資金を賃貸マンションや安定収入型の不動産に再投資すれば、評価を下げつつ収入を確保する「0円相続」に近づく可能性があります。

 

専門家の視点:「法人化=節税」ではない

多くのオーナーが誤解しているのが、「法人化すれば節税になる」という一般論です。


確かに、所得税や消費税の観点では法人化は有効な場合があります。しかし、相続税の視点では話がまったく違います。

 

土地と建物を分けた結果、


・借地権の評価減が使えない
・小規模宅地等の特例が適用できない
・「無償返還」で更地評価になる


といった不利な状況が生まれることが多いのです。

 

つまり、「法人設立=相続対策」ではなく、むしろ相続税を高くしてしまうケースも少なくありません。
 

青木さんの場合も、まさにその典型でした。

 

青木さんの決断

最終的に青木さんは、売却も含めて「土地の整理と資産の組み替え」を前向きに検討することを決意されました。


「子どもに苦労をかけたくない。できるうちに整理しておきたい」との思いからです。

 

今後は、売却額や再投資先を慎重に見極めながら、「相続税を抑えつつ、安定した収入を得る」仕組みづくりを進めていく予定です。

 

まとめ:相続の視点で「持つ・売る」を判断する

土地を持つことは資産であると同時に、相続の場面では「負担」にもなりえます。
 

特に法人化した場合、契約内容や評価の仕方によって、数千万円単位で税額が変わることもあります。

 

大切なのは、


・現在の所有形態が本当に節税になっているか
・将来の相続時にどんな税負担が生じるか


を専門家と一緒に検証することです。

 

「土地を生かすか、売るか」――その判断を間違えると、何千万円という資産が失われることもあります。
 

青木さんのケースは、多くの地主さんにとって“明日は我が身”の教訓といえるでしょう。

 

法人化や不動産の名義変更は、「今の節税」には役立っても、「将来の相続」では逆効果になることがあります。

 

相続税を減らし、資産を守る――その第一歩は、現状の「資産の構造」を正しく知ることから始まります。

 

曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®

株式会社夢相続 代表取締役

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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