(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の生活といえば、「年金のみでギリギリ」「節約が当たり前」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、見た目は質素でも、実は“意外な資産や収入源”を抱えているケースも存在します。ときには家族でさえ知らない「もうひとつの顔」を持っていることも。老後の暮らしは、数字や外見だけでは測れないのです。

「必要最低限でいい。それが誇りでもある」

厚生労働省によると、国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額6万8,000円ほど(令和6年度)。自営業やパート勤務だった人が受け取る年金額は月6万円前後にとどまるケースも多く、「年金だけでは生活が成り立たない」と感じる高齢者も少なくありません。

 

一方で、「不動産収入」や「利子・配当収入」を得ている世帯も一定数存在します。中には、バブル期以前に安価で取得した不動産を現在も保有し、その家賃収入が老後生活の大きな支えになっているケースも見受けられます。

 

なぜ隠していたのか――そう尋ねた息子に、和江さんはこう語りました。

 

「別に“隠していた”つもりはないのよ。言う機会がなかっただけ。でも、“年金だけで暮らしてます”って言えるのが、私の誇りでもあるの。昔の人間だからね。贅沢してるって思われたくないのよ」

 

今でも普段の買い物は徒歩5分のスーパーの特売コーナー。服は10年前のコートを着続け、スマホも持っていません。

 

こうした“お金はあるけど使わない高齢者”の存在は、経済政策の面でも注目されています。

 

内閣府の資料によると、60代以上の金融資産保有額は全世代中トップでありながら、支出額は全年代で最も少ないというデータも。結果として、「消費が活性化しない」「相続時に資産が一気に動く」といった社会的傾向も生まれています。

 

真一さんは、今回の件で「母に対する見方が大きく変わった」と語ります。

 

「勝手に“弱くなってきたな”とか、“老後が心配”とか思っていたけど、母のほうがずっとしたたかだった。むしろ、僕のほうが“何も知らなかったんだな”って思いました」

 

「贅沢はしないけど、困ることもない」。そう言って笑う母の表情は、どこか誇らしげにも見えたそうです。

 

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※本記事のインタビューではプライバシーを考慮し、一部内容を変更しています。

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