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温泉湯豆腐に次ぐヒット商品になった「濃い豆腐」
2010年に嬉野店をオープンしたあと、私が改めて力を入れたのが卸部門の立て直しでした。開店準備に追われていた影響もあり、それまで注力していたスーパーや生協向けの販売が手薄になっていたのです。特に、嬉野店の不振による赤字をカバーする必要があったため、これまで以上に卸部門を伸ばしていくことが急務でした。その一環として、新たに消費者に強く支持される商品の開発に取り組み始めました。
そうした取り組みのなかで誕生し、温泉湯豆腐に次ぐヒット商品となったのが「濃い豆腐」です。その名のとおり、豆乳の濃度を極限まで高めた豆腐であり、開発時には「これ以上ない濃さを追求した豆腐をつくりたい」という思いからスタートしました。その結果、豆乳濃度17%という数値を実現。当時としては非常に高い濃度であり、同等の商品は私の知る限り存在していませんでした。一口食べれば誰でもその濃さを感じられるインパクトのある味わいが、消費者に支持されヒットにつながったのです。
この「濃い豆腐」の製造において最も苦労したのが、品質の安定化です。通常の豆腐と比べ、「濃い豆腐」では摩砕の工程で加える水の量を減らし、豆乳の濃度を高めています。その結果、生呉と呼ばれる豆乳の原料は粘度が高くなり、煮沸工程で熱が均等に伝わりにくくなる傾向があります。熱の入り具合にムラが出やすくなり、製品としての均質性を保つのが非常に難しい点が最大の課題でした。
こうした課題を乗り越え、納得のいく品質を実現するまでには、多くの時間と労力を要しました。発売当初は量産体制に課題があり、失敗品が出ることも少なくありませんでした。時には安定しない商品に対し、お客様から直接電話で「この前はものすごくおいしかったのに、今日のは全然違う。あなたたち心を込めてつくりなさい」とお叱りを受けることもありました。それでも「味が濃くておいしい」という評価を数多くいただき、どうしても主力商品に育てたいという思いで試行錯誤を続けました。
その結果、徐々に製造ノウハウが蓄積され、安定した品質の確保が可能となったのです。こうして完成度を高めた「濃い豆腐」は、2019年に開催された全国豆腐品評会 九州・沖縄地区予選において、出品された170点あまりのなかから最優秀賞を受賞する栄誉にも輝きました。
