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温泉湯豆腐の知名度アップのために自社店舗を出店
2004年の大豆価格の高騰という最大の危機はなんとか乗り切ったものの、スーパーに依存したままでは豆腐屋の未来は明るくないと痛感しました。価格決定権を取り戻す必要性を強く意識した私は、温泉湯豆腐で通販部門のさらなる拡大を目指し、打開策を模索します。そうしてたどり着いた結論が、自分たちの店舗を持つことでした。
当時の温泉湯豆腐は、現在と比べて知名度が非常に低く、知る人ぞ知る存在にすぎませんでした。このままでは通販部門の拡大は見込めないと考え、より多くの人に温泉湯豆腐を知ってもらう場として、自社店舗の出店を目指すようになります。吹けば飛ぶような地方の豆腐屋の私たちにとっては大きな挑戦であり、実現までには時間を要しましたが、2010年4月、ついに念願の自社店舗をオープンさせました。
出店したのは、嬉野温泉の中心地から車で5分ほどの場所にある「佐嘉平川屋 嬉野店」です。古民家のような和風の店舗で、温泉湯豆腐をはじめとする自社商品を取りそろえた物販コーナーと、温泉湯豆腐の定食を提供する飲食スペースを併設しています。なお、自社店舗の1号店は、2006年に佐賀市のショッピングモール内にテナントとして開設した物販店であり、この小規模店舗の運営が、嬉野店出店に向けた予行演習の役割を果たしました。
2010年のオープンから15年が経過した2025年現在、嬉野店の月商は採算ラインを大きく上回る1,000万~1,700万円で推移し、年商も1億5,000万円以上を記録しています。連日、九州各地はもちろん、九州外からも多くのお客様を迎える人気店へと成長しました。その結果、温泉湯豆腐の知名度向上にも大きく貢献する存在となっています。
飲食スペースで提供している温泉湯豆腐定食は、当初から価格を引き上げ、ランチとして考えれば決して安価とはいえませんが、嬉野温泉の名物料理が手軽に食べられる行列のできる豆腐屋ということが話題となり、注目を集めました。店舗が話題を呼ぶことで通販の注文も増加し、通販で商品を知った人が店舗を訪れるという好循環が生まれました。また、食事のついでに買い物をする人も多く、飲食の売上の伸びとともに物販の売上も伸び、BtoC事業全体の売上比率が着実に高まっています。
このように、嬉野店の出店は私たちにとって大きなターニングポイントとなりましたが、その実現と成功の裏側には、さまざまな紆余曲折がありました。豆腐屋である私たちが、未経験の飲食事業に挑戦するなかで、成功のためのノウハウや注意点も数多く学ぶことができました。ブランディングを明確に意識し始めたのも嬉野店の出店からです。そういう意味で嬉野店の出店は、私たちのブランディング・ストーリーを語るうえで欠かせない重要な要素になります。
