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出店場所を嬉野にして本物としての価値を高める
温泉湯豆腐の発祥地は嬉野であり、私たちの会社があるのは隣町の武雄です。本場はあくまで嬉野であって、武雄は違うと言われると、私たちとしても反論し難いのが現実でした。実際、こうした背景による苦い経験があり、それが自社店舗を出店する大きな動機となっています。
その経験を端的にいえば、「地域からの排除」でした。隣町の武雄の豆腐屋である私たちが温泉湯豆腐を始めるにあたって、嬉野の関係団体に了解はとっていたものの、私たちの温泉湯豆腐が通販で大きく売上を伸ばしたことに対し、一部で反発が生まれたのです。私たちは生き残るために必死にやってきたのですが、彼らからは、本場ではない武雄の豆腐屋が、嬉野名物の市場を奪っていると受け取られたのでしょう。やがて嬉野では、温泉湯豆腐の定義を改めて設定しようという動きが始まり、私たちのような嬉野以外の事業者を排除する意図が見え隠れする状況に至りました。
さらに、差出人不明の嫌がらせとも思える文書が届くようになりました。「武雄の豆腐屋が、嬉野の温泉湯豆腐を製造・販売するのは不適切だ」といった主旨の内容で、私たちの会社だけでなく、保健所や取引先のスーパーなどにも同様の文書が送付されました。その頻度は次第に増し、内容も私個人に関する誹謗中傷や脅迫めいたものへとエスカレートしたため、最終的には警察に相談するに至りました。
送り主は最後まで特定されませんでした。匿名の文書である以上、真正面から相手にする必要はありませんが、それでも私たちの温泉湯豆腐が「本物ではない」と扱われかねない状況に、強い危機感を抱くようになりました。そうした背景から、私は是が非でも嬉野に自社店舗を構えなくてはならないと強く思うようになります。本場である嬉野に店舗を持つことによって、商品の正当性を明確にし、ブランド価値を一層高めることにもつながると確信したからです。
銘菓を扱う和菓子メーカーのなかには、店舗そのものがブランドの象徴として親しまれているケースも少なくありません。中小メーカーであっても、魅力的な自社店舗があれば、それが〝名刺代わり〟となり、ブランドの信頼度や認知度を高めることができます。以前、福岡の百貨店で催事をしているとき、「佐賀県の武雄から来ました」という話をすると、お客様は「どこどこにあるお店ね」と私たちよりも規模の小さい店舗を構えた豆腐屋のことを話されていました。このときの経験を通じて、どんなにスーパーに商品を卸していてもあまり認識されないけれど、店舗があると規模が小さくても認識してもらえるんだということを痛感しました。
また、雑誌で通販の温泉湯豆腐が紹介された際に、それを見られたお客様から、「席の予約は可能ですか」といった問い合わせをいただいたことがあります。そのお客様は、通販商品を提供する飲食店が存在するものと自然に想像していたのです。こうした経験からも、自社店舗の必要性を改めて認識しました。
さらに、2007年頃からは通販の売上の伸び率にも変化が見られました。それまでは前年比130~150%と右肩上がりでしたが、次第に110%程度へと鈍化していったのです。年々、売上規模が拡大していたことを考えれば当然の変化ではありますが、再び成長を促すための新たな施策が求められていました。実際、自社店舗の出店を検討し始めたのは、私が社長に就任する2006年以前からでしたが、こうした業績の変化も後押しとなり、「必ず出店する」と強く心に誓ったのです。
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