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自由になったはずなのに…
「もう我慢しなくていいんだ」
そう思った瞬間、涙が出たと佐伯綾子さん(仮名/65歳)は振り返ります。
綾子さんは30年以上専業主婦として家庭を支えてきました。子どもが独立し、夫の退職金の半分である約500万円を財産分与として受け取り、年金は月10万円ほど。「質素でも一人で静かに暮らせればいい」、離婚はそのための最後の決断でした。
築30年・家賃4万円の地方アパートに引っ越し、半年ほどは平和そのもの。
ところが、ある夜から隣室の生活音が激しくなります。深夜2時を過ぎても、ドンドン、ガンガン、大爆笑の声。
「すみません、少し音が……」と声をかけても、「すいませ~ん」と返され、まったく改善の余地はありません。
管理会社に相談しても、「注意はしますが、強制退去はできません」との回答。
「眠れなくて、心臓がバクバクして、毎日泣いていました」と綾子さんは話します。心身が限界を迎え、「退去」を決断。しかし新しい部屋を探し始めた瞬間、「高齢女性の一人暮らし」というみえない壁が、容赦なく立ちはだかりました。
「単身の高齢女性はちょっと……」
「申し訳ありません、オーナーさんが難しいと」
「保証会社に通っても、年齢が……」
不動産会社で、同じ言葉を聞くのは3度目でした。実は、綾子さんのようなケースは決して珍しくありません。
単身高齢者の住まい確保は年々困難に
国土交通省の「高齢者の居住支援に関する調査(2022年)」によると、
・賃貸オーナーの約6割が「単身高齢者の入居に不安」と回答
・理由は「家賃滞納」「孤独死」「近隣トラブル」など
・“断られた経験がある”高齢者は約4人に1人
といった実情がわかります。
さらに、入居審査の厳しさは女性ほど深刻です。厚生労働省の統計では、単身高齢女性の相対的貧困率は約30%。男性の約2倍です。年金額も低く、国民年金のみの場合、月平均は約5.6万円(厚労省・2023年)。
「年金だけでは家賃を払えないのでは?」と判断されやすく、審査に通らない現実があります。
綾子さんの場合、年金は10万円。家賃4万円、食費3万円、光熱費1万円、医療・通信費で残りはほんのわずか。財産分与で手に入れた預金に手をつければ、半年ごとに口座残高は減っていきます。
「自由になったはずなのに。離婚したほうが、こんなに不利だなんて思ってもみなかった」
厚労省の離婚統計によると、
・50代以降の離婚は過去20年で約1.5倍
・しかし、離婚後に生活が改善したと答える女性は約3割
・特に「住まい」「収入」「老後資金」が大きな不安要因
といった結果。実際、熟年離婚の“勝ち組”といわれるのは一握りです。自由を手に入れたはずの女性ほど、社会の壁に直面しやすい──それが現実です。
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