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「自分がやるしかない」と覚悟を決める
私が講演などで会社の歩みを語り、「実家に戻った当時は倒産寸前でした」と話すと、よくこう聞かれます。
「なぜそんな状態の豆腐屋を継ぐ決意をしたのですか」
「継がないという選択肢はなかったのですか」
しかし当時の私にとって、見て見ぬふりをして逃げ出すことはできませんでした。
その気持ちを言葉で完全に表現するのは難しいのですが、あえてたとえるなら、目の前で誰かが溺れていたら反射的に助けようとする――そんな感覚に近いものがありました。また、経営が深刻な状況になるほど、外部からの支援は得にくくなります。最終的には身内である私が動くしかないという思いが、自然と心の中で生まれてきたのです。
そして入社から2~3カ月が経った頃、覚悟を決める決定的な出来事が起こりました。運転資金の借入が必要となったものの、父の代表者保証だけでは融資が通らず、私自身も保証人になるよう求められたのです。
もしここで断れば、資金が尽きて会社が倒産するのは明らかでした。私は数百万円規模の借入に対し、保証人になることを引き受け印鑑を押しました。その瞬間、「もう後戻りはできない。自分がやるしかない」という強い覚悟が固まりました。
入金の早さと利益率の高さから温泉湯豆腐の通販に着目
「自分がやるしかない」と覚悟を決め、経営再建の糸口を必死に模索していた当時、私がまず注目したのが温泉湯豆腐の通販でした。販売数としては決して多くはなく、売上全体に占める割合もごくわずかでしたが、それでも強く関心を持った理由は、入金のスピードと利益率の高さにありました。
通販では、商品が売れてから1~2週間程度で代金が入金されます。これに対し、スーパーへの卸売では入金が1カ月後、問屋を介する場合は2カ月かかります。この差は非常に大きく、キャッシュフローの観点から見ても、通販の優位性は明らかでした。少しでも資金繰りを改善したかった私は、この点を大きな強みととらえました。
さらに、利益率の面でも温泉湯豆腐の通販は極めて優れていました。スーパーに豆腐を卸す場合と比較すると、卸で数十個売るよりも、通販で温泉湯豆腐のセットを1個売ったほうが利益が高かったのです。官僚時代に培った分析のスキルを活かして、パソコンで商品ごとの原価率を計算していた際、通販で販売する温泉湯豆腐の利益率の高さに改めて驚かされました。この印象が強く残り、通販事業に本格的に取り組む決意を固めたのです。
また、通販の販売強化を決断した背景には、製造設備の老朽化もありました。長年使用してきた豆腐製造の機械はすでに劣化が進み、いつ壊れてもおかしくない状態にありました。そのため、生産量を大幅に増やすことは現実的に困難で、安価な商品を大量に販売して業績を上げる戦略はとれなかったのです。こうした制約のなかで、高価格・高利益率の商品に注力するのが最も合理的であると判断し、通販の強化に舵を切りました。
なお、通販ほどではないものの、スーパーに納品していた温泉湯豆腐も、ほかの商品と比べると比較的高価格・高利益率を維持していました。こうした理由から、私は通販に加え、卸売における温泉湯豆腐の販売強化にも積極的に取り組むことにしたのです。
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