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“価格決定権”を失うこととなる製造卸売業への転換
スーパーの台頭により、豆腐屋の商売のかたちは大きく変わりました。
かつて、豆腐屋の業態といえば自ら製造した豆腐を直接消費者に販売する「製造販
売業」が主流でしたが、消費者の購買スタイルが変化するにつれて、徐々に姿を消し
ていきます。その結果、多くの豆腐屋は「製造卸売業」、すなわち豆腐を製造し、スー
パーなどの小売業者に商品を卸す業態へと転換を余儀なくされたのです。
製造卸売業への移行により、豆腐屋は豆腐づくりに集中できるといったメリットも一部では得られました。また、昭和の終わり頃には自動包装機をはじめ豆腐製造機械の進化と普及が進み、同一規格の商品を大量生産できる環境も整いつつありました。これにより業績を伸ばし、工場の設備を強化するなどして、経営規模を拡大した豆腐屋も存在します。
しかし一方で、この業態転換は、豆腐屋から非常に大きなものを奪うことにもなりました。それが「価格決定権」です。
製造販売業として地域住民に直接販売していた頃は、自らの判断で価格を設定できました。市場の相場や近隣との競争を考慮しつつも、商品価値とコストに見合った価格を自分たちで決めることができていたのです。
ところが、製造卸売業にシフトし、販路をスーパーに依存するようになると、販売価格の主導権は完全に小売側に移っていきます。お客様に商品を届けるのはもはや豆腐屋ではなく、スーパー。価格を決めるのもスーパーです。
当初は、スーパーも規模が大きくなかったため、比較的対等な関係で取引が行われていたといわれています。卸価格が一定の利益を確保できる水準であれば、販売量の拡大により豆腐屋の業績向上にもつながっていました。
それが次第に、スーパーがチェーン化して規模が拡大するとともに、スーパー間の競争も激化していったことから、豆腐屋への値下げ圧力も強くなっていきます。そんななかで業績拡大を狙う豆腐屋が値下げに踏み切ることによって、豆腐屋間での価格競争も過熱するようになっていきます。このような状況下では、たとえ卸価格が採算ラインを下回っても、簡単に断ることはできません。すでに売上の多くをスーパーとの取引に依存している以上、ひとたび取引が途絶えれば大きな売上を失うことになり、そのまま経営危機に陥る可能性が高いからです。
こうして、「値上げ交渉は通らない」「スーパーの要望には応じざるを得ない」といった空気が業界全体に広がっていきました。なかには、白紙の見積書をスーパーに提出し「値段を記入してください」と言った豆腐屋もあるように聞いています。このようにして価格決定権を完全に手放す構造が定着していったのです。
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