(※写真はイメージです/PIXTA)

相続に認知症の人が関わる場合、遺産分割などにおける本人の意思確認が明確ではない点に懸念があります。そのため、事前に遺言で遺志を示すのが従来までのセオリーでしたが、その方法も2019年7月の民法改正により、絶対的ではなくなりました。遺言に代わる認知症の相続対策として、おすすめしたいのが「家族信託」です。家族ら信頼できる人に財産やその管理を託す「家族信託」にはどんなメリットがあるのでしょうか。本記事では、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より、認知症の人がいる場合の相続について、家族信託を中心に解説します。

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相続において「遺言」が絶対ではなくなった?

相続による権利の承継方法が、民法の改正により変わりました。具体的には遺産分割協議の成立や遺言の存在にかかわらず、相続分を超える部分は、登記がない限り他人には主張できなくなった点です。
 

相続登記は早いもの勝ち?民法改正の内容

たとえば、相続人は妻とご主人のお兄さんのAさんの2人で、自宅を含む全財産を配偶者に相続させる旨の遺言があったとします。不動産についての相続による権利の移転は、相続人は誰でも、ひとりで相続人全員の分を法定相続分で登記することができます。

ご主人が亡くなった後、ご兄弟のAさんが、法定相続分による相続登記をした後、他人に自分の持分を売却してしまった場合、持分を買った他人は、権利を妻に主張できるでしょうか。

民法の改正前では、遺言は絶対だったので、持分を買った他人は妻に持分の権利を主張できず、妻は全部自分のものと主張できました。

しかし、2019年7月の民法改正により状況は一変。相続による権利の承継は、たとえ遺言があっても、法定相続分を超える権利は、相続登記をしない限り、他人に主張することはできなくなりました。たとえ、妻が遺言で自宅を相続することになっていても、妻は、Aの持分を購入した人に、自分の所有権を主張することができません。

相続人の単独申請を回避する方法はなく、相続登記は、早いもの勝ちになってしまったのです。
 

[図表4]2019年7月民法改正後の変更点:他人への主張が不可に
 

財産相続での、家族信託による解決

遺言がある場合、相続が発生したら、相続登記を速やかに行うことが重要ですが、他に解決方法はないものでしょうか。その場合、「家族信託」が解決に役立ちます。家族信託では、信託契約により信託財産となったご主人の財産は、受託者の名義に変わりますので、民法上の相続財産から除外されます。

相続人は、この信託財産に対して、勝手に相続登記を申請することはできません。家族信託では、ご主人のご存命なうちは、自分の財産を信頼がおける方の名義に変更し、預けたその財産を、管理・運用してもらいます。

ご主人が亡くなったときは、その預かった財産についての権利を、当初指定した方に承継してもらいます。

ご主人は、自分の財産を信頼できる妻の甥に信託して甥の名義に変更し、代わりに受益者として受益権という権利を取得します。ご主人に万一のことがあったときは、その受益者は妻になり受益権を取得します。
 

家族信託と遺言における相違点

家族信託と遺言は、一般的には図表5のような相違点があります。遺言の場合、財産の名義はご本人ですが、家族信託では受託者になる点が大きな違いです。
 

[図表5]家族信託と遺言の比較

 

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※本連載は、奥田周年氏の著書『新版 親が認知症と思ったら できる できない 相続』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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